クラシック、オペラの粋を極める!

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2020/10/16 読響

2020年10月16日   読売日本交響楽団   サントリーホール
指揮  秋山和慶
神尾真由子(ヴァイオリン)
レスピーギ  組曲「鳥」
プロコフィエフ  ヴァイオリン協奏曲第1番
レーガー  モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ


この日のハイライトは神尾さんのプロコのコンチェルト。
私が本公演を聴きに行こうと思ったのも、このコンチェルトがプログラムにあったからで、そういう意味で「行って良かった」という満足感に大いに浸ることが出来た。

神尾さんのヴァイオリンは、毎回聴いて思うことだが、スケールが大きく、燃焼度が高い。
このプロコも、とにかく積極果敢で激しい。
「激しい」と言えば、たいていの演奏では、強い箇所、大きくうねる箇所で打ち出す感じだが、彼女の場合、弱音のか細い箇所でもアグレッシブで、激しさが伝わってくるのがすごい。
第1楽章冒頭の旋律は本当にゾクゾクした。「弱音なのに迫力が備わる」という強烈なインパクトだった。


このプロコのコンチェルトは、ソリストの演奏もさることながら、オーケストラの各パートがソロと掛け合いを演じ、その絶妙なブレンド感を堪能することが出来る素晴らしい作品だ。
録音で聴くのももちろんいいが、是非生のコンサートで、ステージ上で起こっている神々しい現象を体験すべきだと私は思う。

協奏曲というのはソロ奏者が主役であり、ソロの演奏に目も耳も釘付けになるのが普通である。
ところが、このプロコに関しては、私は必ずいつも、次々とヴァイオリンと掛け合いを演じるフルート、クラリネットファゴット、ハープなどの各パートの奏者たちをじっと注視するようにしている。
すると、各パート(今回で言えば、読響の精鋭なる奏者たち)が、いかに自分の音色をソロのヴァイオリンにブレンドさせつつ、ヴァイオリンを引き立たせようとしているか、そうした真剣なアプローチが手に取るように分かる。

彼らは単なる伴奏役ではない。ソロ奏者と一緒になり、一体化して、作品を輝かせようと最大限の貢献をしようとしているのだ。

協奏曲というのは、まさに文字どおり「協奏」。
それを最も分かりやすく聴かせてくれる稀有な作品、それがプロコのヴァイオリンコンチェルト。


この日、レスピーギとレーガーについても、聴いて感じたことが当然あったが、鑑賞記としては、以上、プロコのコンチェルトについて大いに語ったところで、締めさせていただこうと思う。