2024年1月13日 NHK交響楽団 A定期演奏会 NHKホール
指揮 トゥガン・ソヒエフ
ビゼー/シチェドリン カルメン組曲
ラヴェル 組曲マ・メール・ロワ、ラ・ヴァルス
このところずっと、毎年1月のN響はソヒエフで決まっている。何だかまるで定期契約でも結んでいるかのよう。
近年、その実力が認められ、世界的にも評価が急上昇、屈指の一流指揮者としての地位を確立しつつあるソヒエフ。才能を早くから見抜き、パートナーシップを強固にしているN響からしてみたら、今の定期招聘は誇らしい実績と言えるだろう。関係者は、内心ほくそ笑んでいるのでは? 「ほれ、オレたちの目は正しかっただろ?」みたいな(笑)。
(一番目ざといのは、16年も前の2008年に彼を音楽監督として迎えたトゥールーズ・キャピタル管だけどな。)
いっそのこと、「首席客演指揮者」のポストを与えてもいいくらいだと思うけど、どうなんだろね。
それとも、ロシアのウクライナ侵攻が、まだまだ暗い影を及ぼしているのだろうか。
そのソヒエフのタクトと、そこから編み出される音楽を眺めると、本当に細部にまで音作りを徹底して施しているのが分かる。一つ一つ着色し、それを浮かび上がらせているのだ。これは、リハーサル、相当緻密な作業を行っているのではないだろうか。
なんか思い出してしまった。
ちょうど前日のテレビ番組で、ピアニスト藤田真央氏が語っていたこと。
「練習段階から設計図を作り、どういう音で、どういうニュアンスで、というものを、毎音、全部、常に意識しながらやっている。」
そう、これ。まさにこれを、ソヒエフはやっている。
たまたまテレビで観て聞いた一人のピアニストの言葉が翌日のコンサートに繋がり、ちょっとびっくりしたが、一流プロ演奏家の共通観ということか。
ラ・ヴァルスの演奏は、圧巻、見事だった。
それから、演奏云々ではないけど、組曲マ・メール・ロワの最後の「妖精の園」、この曲はほんといい曲だよね~。オレ、だーい好き。