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2024/1/8 読響

2024年1月8日   読売日本交響楽団   横浜みなとみらいホール
指揮  セバスティアン・ヴァイグレ
藤田真央(ピアノ)
ブラームス  ピアノ協奏曲第2番
シューマン  交響曲第1番 春

 

一回券の発売日、売り出した瞬間にあっという間に完売。当日、ネットで他の読響の複数の公演と併せて申し込んだが、公演選択の順番を間違えたり、余裕をかましていたら、買えなかったかもしれないという恐ろしい演奏会。

人気殺到の理由が客演のピアニストであることは、論を俟たない。
日本には多くのファンを惹きつける若手ピアニストが数多くいるが、その中でも確固たる実力を伴った最上位クラスのピアニスト、それが藤田真央だ。

何を隠そう、私だって本公演のお目当ては真央クンだった。ブラームスのピアノ協奏曲は、個人的に、「経験値に裏付けされた風格や熟練の技巧がないと、なかなか歯が立たない難曲」と勝手に思っていて、それをまだ若い彼がどのように対処するのか、興味津々だったからだ。

その藤田真央のブラームス
肩肘を張らず、全精力を傾けて対峙という風でもなく、自然でおおらかで清涼剤のような、とても気持ちのよい演奏。もちろんお気楽という感じではなく、真剣さと集中力は堅持しつつ、謙虚に、あるがままに作品に向き合っている趣だ。

バックの読響の演奏、つまりヴァイグレのコンダクトが、まとまりよく、ブレンド感満載でオーケストラとの調和を築いていて、あたかも一つの交響曲のように作品を仕上げていたのが、特筆だ。


前半演奏後の休憩時には、女性化粧室への長蛇の列。
そして、休憩が明けて着席し、周囲を見渡すと、ポチポチと見つかる空席。

まあいいでしょう(笑)。


メインのシューマンは、先月に聴いたばかりのスダーン&東響の演奏と決して比較するわけではないが、印象はなんだか全然違う。
スダーンが採用したマーラー編曲版が耳に残っていて、そうした装いの差を肌で感じたからであろうか。

まあ指揮者もオーケストラも変われば、印象が異なっていくのは当然なわけで。

ヴァイグレのシューマンは、あまり色彩にはこだわらず、オーソドックスな構成感で、あたかもドイツのローカル・オーケストラの演奏のような素朴さ、真面目さが感じられた。


演奏後、一通りのカーテンコールが終わってホールを出ようとしたら、ロビーには、つい先ほどまでステージ上にいた指揮者ヴァイグレさんが、北陸震災の義援金を募るため、自ら率先して募金箱を持ち、呼び掛けていた。当然の成り行きだが、彼のところには沢山の人が群がり、多くの募金が集まっていた。

この光景は、見覚えがある。
2011年、東日本大震災の後、新日本フィルの演奏会だったと思うが、指揮者D・ハーディングが、やはり先頭に立って募金活動を行っていた。ハーディングは、あの大震災発生の時、ちょうど日本にいたんだよな。

彼ら外国人のこうした行いには、本当に頭が下がる。

熊本地震から約8年。地形・地質上、地球の構造上、やむを得ないとはいえ、どうして日本はこうも度々災害に見舞われてしまうのだろう。悲しいことだ。