クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2023/12/25 シエナ・ウインド・オーケストラ

2023年12月25日   シエナ・ウインド・オーケストラ   文京シビックホール
指揮  佐渡裕
レスピーギ  ローマの祭
音楽のおもちゃ箱 佐渡裕トークと音楽
レスピーギ  ローマの噴水、ローマの松

 

プロ吹奏楽シエナ・ウインド・オーケストラの公演に行くのは初めてだった。
チケットを買うきっかけとなる目に留まった公演チラシには、大きくいっぱいにタイトル「佐渡裕シエナ」と表記され、真ん中あたりに「レスピーギ交響詩 ローマの祭り/ローマの噴水/ローマの松/」とあった。そうか、あの「ローマ3部作」を吹奏楽でやるのだな。面白そうじゃないか。
ただ、その続きに、よーく見ないと分からないくらいの小さな文字で「ほか」と書かれていたのだが、そのことのに気付いたのは、チケットを買ったずっと後のことだった。

当日の会場にて配布された公演プログラムを手にすると、この「ほか」というのは、『音楽のおもちゃ箱~佐渡裕トークと音楽~』というコーナーであることが判明した。
1曲目の「ローマの祭」演奏後にそのコーナーが設けられ、プログラムには「佐渡シエナのファンにはおなじみ。何が飛び出すか、本番でのお楽しみ!」と記されていた。

実際の中身はというと、まず佐渡裕のマイクパフォーマンス、「今年はコロナが開けた画期的な年だったが、コロナの3年間は演奏家たちにとってマジ大変だった」みたいなあーだこーだのトーク。そして、会場のお客さんを巻き込み、わざわざ立たせ、みんなで歌い踊らせての「マンボNo5」の演奏など。最後に吹奏楽の定番「アフリカン・シンフォニー」。

要するに、余興だった。思わず頭を抱えてしまった。


こういう企画は、若い人やファミリーといった一定層にとって、楽しくて有意義なものだろうと思う。実際、多くのお客さんがノリノリで楽しんでいた。だから、否定はしない。主催者や演奏側にとって、お客さんをがっちりと掴み、ファンを開拓するための必要手段だというのなら、理解しよう。

だが、少なくとも、そこは私のフィールドではない。

吹奏楽によるレスピーギ3部作の容貌を体感し、この作品の真髄にどこまで迫るのか、演奏を通じてレスピーギの何が語られるのか、それらを真剣に捉え、集中力をもって受け止めようと身構えていた私にとって、余興は100%不要な物でしかない。そのコーナーの時間は、私にとって完全に無駄なひとときだった。

「そんな、堅苦しく考えずに、素直に楽しめばいいじゃん」という意見も聞こえてきそうだが、こちとらお金を払ってるんでね。それを求めるためにお金を払ってるんじゃないからね。

こういうことをやるのなら、頼むからチラシにはちゃんと告知アナウンスしてほしい。
そうすれば、数千円のチケット代を浮かすことが出来た。他の有意義な時間に回すことが出来た。第9に行った方がよっぽどマシだった。

今年最後、締め括りの演奏会は、こうして苦々しく幕を閉じた。それでは皆さん、良いお年を。