2021年3月14日 読売日本交響楽団 東京芸術劇場
指揮 山田和樹
清水和音(ピアノ)
コープランド エル・サロン・メヒコ
ガーシュイン ピアノ協奏曲
ヴィラ・ロボス ブラジル風バッハ第9番
レスピーギ ローマの松
山田和樹が3つのプログラムを担った3月の読響公演シリーズ。彼の手腕がイマイチ分からなかったため、今回の一連の公演で確かめる機会にしたい、と思っていたことについては、以前のブログに書いた。こうして3つとも聴き終えた今、彼の実力の片鱗をはっきりと捉えることが出来、何だかスッキリ。清々しい気分でいっぱいだ。
3公演のプログラムにはたくさんの作品が並んだ。合計10曲。これら一つ一つの作品が個々の魅惑に満ち、鮮やかに輝いていた。指揮者が作品にスポットライトを当て、躍動感と色彩感を与え、生命力を宿したことは間違いがない。そう確信した。
この日のコープランド、ガーシュイン、ヴィラ・ロボスは、南北のアメリカを代表する作曲家。ヨーロッパの古典物とは一味違う風情があるが、そうした雰囲気、ぬくもり、薫りみたいなものを漂わせ、エキゾチックさを醸し出すヤマカズさんのサウンド作りが、いかにも粋であったと思う。
異国情緒溢れるアメリカ物から、一気に南欧に飛ばしたプログラムの意図は不明だが、レスピーギらしい絢爛豪華なサウンドと、「松」らしい圧倒的な盛り上がりは、純粋に心躍るものだった。
また、個人的に、エル・サロン・メヒコを聴けたのは、嬉しかった。生で初めて聴いた。
厳密に言うと、大昔、アマチュアの吹奏楽の演奏で聴いたことがある。高校生の時、結構お気に入りの曲だったのだ。
当時ラッパ小僧だった私は、この曲の最初の方に出てくるトランペット・ソロ部分をよく真似て吹いた。何気ない旋律のように聴こえるが、リップトリルという高度なテクニックが必要だった。だから繰り返し繰り返し練習したっけな。
読響のラッパ奏者さんは、実にさりげなく、軽々と、難なく演奏していた。やっぱりプロってすごい。