クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2019/2/16 東京佼成WO

2019年2月16日   東京佼成ウインドオーケストラ   東京芸術劇場
指揮  大植英次
リード  パンチネルロ序曲
 
 
久しぶりに吹奏楽のコンサートに行った。吹奏楽とは言っても、ご覧のとおり、指揮者もプログラムも、ほぼ純クラシック系。日頃馴染んでいる管弦楽作品が、ブラス演奏によってどのように聞こえてくるのか、非常に興味深い公演だった。
 
同時に、吹奏楽は、小・中・高とブラバン小僧として自分の成長と共にあった、古くて懐かしい記憶そのものでもある。音楽を聴いたら、もしかしたら何かあの頃の景色が思い浮かぶかもしれない。そんな憧憬のワクワク感もあった。
 
ところが、である。
演奏が始まると、「ブラスとしてどのように聞こえるか」、「何か懐かしい景色が浮かぶか」などという思いは、すぐに消えた。
自分が捉えたのは、音楽や演奏の純粋な中身だった。
すなわち、ワーグナーシュトラウスの様式感の味わいであり、指揮者大植英次氏の作品に対する洞察である。
 
つまり、これは私のいつもの聴き方であり、普段どおりの聴こえ方だった。
 
これには、二つの意味があったと言えよう。
一つは、東京佼成WOの演奏能力と完成度が「ザ・プロフェッショナル」で、自分がかつて身を置いた「ヘタだけど一生懸命なアマチュアリズム」と完全に一線を画していたこと。
要するに、自分の思い出と重なる要素は皆無で、そんな水準ではなかったわけだ。だから余計な感興が入ってくる隙間がなく、その分音楽に集中することが出来た。
(これが、たぶん、吹奏楽コンクール大会とかを聴きに行ったら、全然変わるのだろう。)
 
もう一つは、管弦楽作品からブラス演奏作品への編曲の巧みさだ。
弦楽器がないのに(コントラバスを除く)、その違和感がほとんどない。
 
もちろん厳密に言えば、楽器の特性も編成もまったく異なるのだから、違いはある。それは当然。
だが、「違い」と「違和感」は別物だ。
違和感を感じさせない編曲、素晴らしい。グッドジョブだったと思う。
 
そのアルペンの編曲を行った大橋晃一氏は会場内で聴いていたが、演奏終了後、指揮者からステージに呼び出され、演奏者と一緒にカーテンコールを受けた。その時、大植さんがスコアを高々と掲げたかと思ったら、次にそのスコアを自分の懐に入れ、貰ってしまおうとするパフォーマンスを見せて、会場のウケを狙っていたが、その気持ちは大いに分かった。
 
それにしても、プロの吹奏楽団のコンサート、いいなあ。
吹奏楽コンクールを聴きに行ったら」と上で書いたけど、プロの公演でも、例えば、自分が昔演奏したブラス作品を聴いたら、その時はひょっとしたら懐かしい景色が思い浮かぶだろうか。
 
そうした公演をもし見つけることが出来たら、その時是非また足を運ぼう。
今後も、公演プログラムは要チェック。