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2023/11/25 N響 A定期

2023年11月25日   NHK交響楽団 A定期演奏会   NHKホール
指揮 平石章人(A)、湯川紘惠(B)
スヴィリドフ  小三部作(A)
プロコフィエフ  歌劇「戦争と平和」より ワルツ(A)
ルビンシテイン  歌劇「悪魔」より  少女たちの踊り(A)
グリンカ  歌劇「イワン・スサーニン」より クラコーヴィアク(A)
リムスキー・コルサコフ  歌劇「雪娘」組曲(A)
チャイコフスキー  組曲「眠りの森の美女」(B)

 

「本当はフェドだったんだよなあ・・」

おっと、いけねえ。それを言っちゃいけねえ。禁句であったわい(笑)。

・・・なんてな。

N響の指揮者変更」という以前の記事で、無意識のうちに沸き起こってしまう雑念を、しっかりと封じ込めることが重要だと書いた。
実際には、いざコンサートが始まれば、そうした雑念は一切沸き起こってこなかった。
それは、「音楽、作品の魅力が存分に楽しませてくれた」というのもあるし、「代わりに振ったお二人の指揮者が、しっかりと音楽を作っていた」ということでもあった。

N響の指揮研究員ということだが、当たり前だが、そこらの素人ではない。著名な指揮者の指導を受け、P・ヤルヴィのアシスタントを務め、プロの世界に真っ直ぐに飛び込んでいる一端の専門家なのだ。

そりゃもちろん、突然の代替変更、しかも巨匠フェドセーエフの穴埋めということで、重圧はあっただろうし、緊張もしたことだろう。
だが、周囲から認められ、見込まれ、任されての登板であり、本人たちも強い意欲と自信を持って臨んだ公演。しっかりと出来ちゃうわけである。

つい肩や腕に力が入るかと思いきや、むしろ逆で、二人とも滑らかな弧を描くタクトがとても自然。ぎこちなさ皆無。
「しっかりとリードしよう」と意気込むのではなく、オーケストラから音を生み出させ、そこに信頼を置いて委ねる、という原理を分かっているのだと思う。そこらへんは、指導を受けた教官指揮者から、叩き込まれているわけだ。

一方で、積極的に攻めていく感は乏しい。N響はちゃんと音楽にしてくれるから、それで十分かもしれないが、「ここはどうしてもこれで行かせてもらいます!」みたいな主張を、もっと盛り込んでもいいとは思った。それとも、さすがに今回はそこまでは無理だった??


演奏側のN響はというと、もちろん若手を羽ばたかせたいという気持ちはあったと思う。
だけど、実際の演奏は「盛り上げよう」って感じは見えなくて、「いつものN響」(笑)。
なんだかなー、「仮にフェドが振ってもこんな演奏だったんじゃないか?」みたいな、いつもの仕上がりなのであった。さすがN響(笑)