クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2023/5/13 読響

2023年5月13日   読売日本交響楽団   東京芸術劇場
指揮  沖澤のどか
三浦文彰(ヴァイオリン)
エルガー  ヴァイオリン協奏曲
ワーグナー  トリスタンとイゾルデ第一幕前奏曲
R・シュトラウス  交響詩死と変容


実のところは定かではないが、エルガーのコンチェルトは「最も長いヴァイオリン協奏曲」と言われている。48分くらいの曲。確かに長ぇ。
それ故かどうかは知らないが、あまり演奏されない。たくさんのコンサートに行っている私自身も、これが初めての生鑑賞だ。

演奏するのは、人気ヴァイオリニスト、三浦文彰
ハノーファー国際コンクールにおいて若干16歳で優勝し、一躍脚光を浴びてから、早14年。もうそろそろ若手から中堅に差し掛かって、実力派として功を成したいところだが・・・芸能事務所エイベックスに所属し、なんとなく興行戦略的プロモーションに担がれている匂いがプンプン。
同じくエイベックス所属の辻井伸行くんとの組み合わせとかね。
こういうのって、コテコテのクラシックファンからは敬遠されるんだよな。ははは。

さて、本日はそうした色眼鏡で見ずに、純粋に演奏面に特化して聴きたいところだったが・・。
何だか退屈して、いつの間にかウトウト、やがて爆睡してしまった。
演奏がつまらなかったのか、曲が長くてつまらなかったのか、はたまた俺のコンディションのせいだったのか・・・。

コンディションのせいにしておくか、とりあえず(笑)。


もともとこの日の私自身の関心は、沖澤さん指揮によるワーグナーシュトラウスの演奏だった。
ベルリンに留学し、昨年までおよそ3年間、ベルリン・フィルキリル・ペトレンコのアシスタントを務めた。その沖澤さんのワーグナーシュトラウスは、絶対に聴き物であるはずだ。


いきなり彼女なりの創意が見られたのは、「トリスタンとイゾルデ前奏曲」と「死と変容」の2曲を、インターバルを入れず、切れ目なく続けて演奏したこと。

演奏前、その旨を告げる場内アナウンスを聞いて、「なんでそんなことするんだろ?」と思った。作曲者も異なる全く別の2曲。繋げる意味はどこにも無いはず。そう思った。

ところが、これがまったく違和感が無く、音楽的にスムーズな流れ。

改めて2曲を見つめてみると、「トリスタン前奏曲」には死へと突き進んでいく予兆があり、その死の先に愛の成就という到達点がある。
そして、「死と変容」は、まさに死によって魂が昇華し救済される様が音楽化されている。
実に理に適った結び付き。これに気が付いた時、「なんて鋭い洞察!」と感心した。さすが。


沖澤さんのタクトは、「引く」「押す」「寄せる」の波のようなアクションを巧みに駆使していて、潮の満ち引きのようなナチュラルなムーブメントが音楽に生命感を与え、実に耳に心地よい。
ただし、指揮者とオーケストラに、溝とまでは言わないが、間が見受けられた。お互いが敬語で会話している感じ。相性はまだ手探りの感があった。
そこらへんは客演だし、仕方がないのかな。読響を指揮する機会はこれからもありそうだし、今後に期待しよう。

むしろ、常任指揮者に就任した京都市交響楽団との演奏を聴いてみたいと思った。
いつかきっと聴くチャンスがあるだろうから、楽しみにしたい。