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2021/3/9 読響

 

2021年3月9日   読売日本交響楽団   サントリーホール
指揮   山田和樹
リスト   レ・プレリュード
R・シュトラウス   死と変容
ニールセン   交響曲第4番 不滅


よく考えられた、見識と選曲のセンスが光るプログラムである。
「レ・プレ」すなわち前奏曲は、とある詩の中にあった「人生は死への前奏曲」という言葉を作曲家が引用し、標題にしたとされている。
で、「死と変容」では死の恐怖を超越した末に訪れる世の浄化が表現され、そしてついに「不滅」に至って魂を永遠に導く。
連鎖であり、示唆になっているわけだ。

しかも、このタイミングである。
東日本大震災の悲劇からちょうど10年。そして、コロナ禍に見舞われたクラシック界。
公演のチラシにあったキャッチコピー「音楽は、不滅だ」は、単なる言葉の引っ掛けではなく、指揮者山田和樹と読響からの一つの「メッセージ」であり、「回答」であったと思う。


名曲でありながら、その割には演奏される機会が意外と乏しい「死と変容」と「不滅」。両曲とも私自身大好きなのに、それぞれたったの4回しか生で聴いたことがない。
そんな中、「死と変容」を前回に聴いたのが2012年1月の「読響」であり、「不滅」を前回に聴いたのが2014年4月の「山田和樹指揮」であった、というのは、何だか繋がっているようで、面白い。
2014年にヤマカズさんが「不滅」を指揮したのは日本フィルだったが、今回、読響と組んでまたこれをやった、というのは、きっとこの作品に対して彼なりの思い入れがあるのだろう。


演奏も実に見事だった。
ヤマカズさんのタクトからは、作品の中に存在する「基柱」が明確に示されていたし、読響も全身全霊の力演で応えた。
この日のプログラムは、オーケストラ奏者にとってかなりヘビー、ハードだったはず。
でも、そのハードな作品をこなす気概というものが、ひしひしと伝わってきた。強奏の部分は、おそらく普段の2割増の音量だったと思う。
分かるよ。燃えるよねー。


会心の演奏で、心の中で思わずガッツポーズを取ったであろうヤマカズ氏。
カーテンコールの最後で、観客の拍手を制し、「読響は永遠に“不滅”です!」とやって、再び大喝采

でもこっちは大ズッコケ(笑)。
なんだいなんだい。せっかく選曲プログラムの妙、そこに込められた「永遠の魂という一連のテーマ性」だとか「音楽は不滅というメッセージ」だとかを絶賛したのに・・・。
そっちかよー!?(笑)