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2022/10/15 パリ管

2022年10月15日   パリ管弦楽団   東京芸術劇場
指揮  クラウス・マケラ
ドビュッシー  交響詩「海」
ラヴェル  ボレロ
ストラヴィンスキー  春の祭典


6月7月に引き続き、またしてもマケラ旋風が吹き荒れようとしている。
しかも、今度は名門パリ管を率いての来日であり、否が応でも期待が高まる。

1曲目と2曲目は、いわゆる「お国物」というやつ。フランスを代表するオーケストラから、挨拶代わりとなるフランス作曲家作品のお披露目なわけだが、これがめちゃくちゃスタイリッシュでカッコいい。なんつうか、いわゆる「フランスのエスプリの薫り」をプンプン匂わせるような、高級感漂う装いなのだ。

参っちゃうよね・・。
本当のことを言えば、フランスに対し、こうしたオシャレで素敵なイメージをもって語りたくない。日本人は彼の国を憧れの目で見がちだが、私に言わせれば、そうした部分はほんの表面的な一部でしかない。実際、パリなんか、落書きも多いし、ゴミも落ちていて結構汚い。時間もルーズだし、当たり前の事が当たり前に運ばない面倒な国だ。

でも、間違いなく洗練された美意識というのは存在していて、それをいかにも「これぞフランス」みたいに全面的に誇示した演奏に、完全にやられちゃったわけである。

で、それをやってのけたのが、若干26歳のフィンランドの若者なわけだ。
マケラがやっていたのは、フランスのエリートプレーヤーのプライドをくすぐりながら、パリ管らしい優雅で繊細なサウンドを引き出すこと。あとはそれをハーモニーとして自然に積み重ねれば、絶品のドビュッシーラヴェルの完成だ。

やるねえ、マケラ。


後半のストラヴィンスキー、今度は一転して「さあ今度は私に従っていただきましょう」とばかりにマケラが強烈な牽引力を駆使し、グイグイ感に満ちた疾風怒濤の爆演。

春の祭典は、生贄を捧げる儀式である。
その狂喜乱舞の様を体現するために、マケラは全身を使って、時に足を踏み鳴らし、荒々しく、激しく、熱血的にタクトを叩く。

迫力と躍動。なんという力強さ。ひえぇ~~、すっげー!!
同じ言葉が出てしまうが、これを若干26歳の若者が成し遂げてしまうわけだ。
恐れを知らぬ若き軍神マルスの快進撃。これはフランスの歴史にて輝かしく台頭したナポレオンの劇的復活なのか・・・いやいや、まさか。


コンマスは日本人千々岩英一さんの凱旋帰国。事前に物議を醸しだしていた照明演出については賛否両論だろうが、別に特段ああだこうだ言うほどの物でも無し。