クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

北京オリンピック総括

北京オリンピックが終わった。2週間なんてあっという間だ。サッカー・ワールドカップの1か月だってあっという間に感じるのだから、まあそういうことだ。
その間、日本人選手の活躍に一喜一憂し、ワクワク興奮して観ていたかといえば、ノー。そんなこたぁない。これまで何度も言っているとおり、1億総「頑張れニッポン」現象が嫌いなオレ。スポーツ観戦の醍醐味とは、純粋に競技そのものの面白さを見つめ、楽しむことであり、日本人の活躍云々ではない、というのが私の持論だからだ。

とはいえ、テレビを付ければ、否が応でもニュースが飛び込んでくる。日本人選手がメダルを取れば、さすがに私も「ああ、そうなのね。そりゃよかったね。」くらいには思う。
本人の頑張りを褒め称えればいい。ただそれだけであり、間違っても「感動をありがとう!」などとは言わない。

そんなわけで、今大会においても私は“ある一競技を除き”、いつものとおりクールに眺めていたのであるが、それでもロシアのワリエワ選手(フィギュアスケート)のドーピング問題とフリープログラムの大失敗、それから高木菜那選手(スピードスケート)と高梨沙羅選手(スキージャンプ)の号泣については、結構思うところがあった。

ワリエワ選手については、きっと様々な意見があるだろう。
あくまでも推測だが、15歳の少女が自ら積極的に薬に手を出すとはやっぱり思えない。予め真実を分かっていたら、本人はきっと「ニェット」と拒むだろう。親族が「心臓疾患を抱えて薬を服用している祖父と同じグラスを使ったため」なんて弁解したらしいが、その程度で違反となるような異常値が検出されるはずがない。やっぱりこれは意図的な組織関与問題であり、周囲関係者の責任問題だと思う。

そんな状況下、世界中から疑惑の目と大バッシングが矢のように降り注ぎ、それを一身に浴びた彼女。動揺し、プレッシャーに押し潰されてしまったのは、ある意味当然だ。15歳なんだから。

ジャンプミスを連発した彼女を見て、私は「かわいそう」というより、「やっぱり普通の女の子じゃないか」と、何だかホッとした。メダルを逃したことについても、むしろ良かったんじゃないかと思った。
もしこれでメダルを取ったとしても、後になってから剥奪されたかもしれないし、仮に認められたとしても、今後ずっと「疑惑のメダル」と言われ続けるだろう。絶対に心から喜べないはずだ。
だったら、一回負けて、地に堕ち、ゼロからやり直して、復活すればいい。まだ若いんだからさ。


高梨選手と高木姉選手の号泣については、「残酷な世界だな」と思った。
これが個人競技なら、自分一人がミスの責任を背負えばいい。そして、最終的に自分が悪かったと諦めが付く。
ところが、チームで戦っていて自分にミスが出、自分のせいで勝つことが出来なかった時、その胸中は複雑だ。ひたすらチームメートに対して申し訳ない、自分のせいで迷惑かけたという罪悪感に苛まれ、その悔恨から逃れられない。

これ、辛いよな。号泣するのも当然だ。

でもこうした時、本人は「私のせい」と自分を責めてしまうが、チームのみんなは誰も「おまえのせい」と思わない。全員が「チームの責任」「チームの失敗」と捉える。
なぜなら、チームのために全力で挑んだ結果であることを、全員が理解しているからだ。
パシュートのチームメートである妹の高木美帆選手と佐藤綾乃選手がインタビューで、二人共に「自分としてもっと出来たことがあったはず」という反省の言葉を口にしたのを聞いて、「さすがの発言、でもこれこそが真っ当の発言」と思いつつ、なんだかんだで私自身も鼻の奥がツンとなってしまった。

そうなのだ。勝負の世界というのは、勝者の栄光と同じだけ、いやそれ以上に、敗者の挫折と苦悩が存在する。選手生命を賭けて挑む究極の目標の場であるオリンピックなら、なおさらのこと。
結果だけでなくそこまでの過程も含め、そこに否が応でもドラマが誕生してしまう。それが観ている人の心を動かし、感動を呼ぶのは、結局誰が何と言おうと、私なんかがあーだこーだ言おうと、否定し難い事実なのだ。

そういうわけで、個人的に「頑張れニッポン」「感動をありがとう」は嫌いであっても、多くの国民が4年に一度オリンピックに夢中になってしまうことは仕方がないこと。だって私自身がグッと来ちゃったんだからね。


最後に、上で“ある一競技を除き”と書いた、その競技が何なのかをお教えしよう。
日本人が出場しておらず、日本人の誰も注目していない「アイスホッケー(男子)」だ。

なんでこのスポーツがこんなにも知名度が低いのだろうか。さっぱり理解できん。はっきり言うが、こんな面白いスポーツないぞ。
(そう言えばつい先日もNFLについて同じような発言コメントをしたような気がするが、まあいい。許せ。)
圧倒的なスピード感、凄まじいほどのド迫力、そのスリリングさに私なんかは観ていて恍惚感さえ覚えてしまう。今大会は北米プロアイスホッケーリーグNHLの選手が出場しなかったが、だからといって競技の魅力は些かも低減しない。

ちなみに、私は一昨日と昨日、日光まで行き、アイスホッケーリーグの試合を観てきたのであった。日光詣では、実はほぼ毎年のことだ。

この競技の面白さに一人でも多くの人が開眼し、メジャーになってほしいと思いつつ、一部の人しか気が付いていないこの競技の魅力を俺様は知ってるぜ、みたいな自己中のほくそ笑みもあったりして、なんともビミョー(笑)。
1998年の長野オリンピックでは、この競技だけを観るために長野まででかけた。(あのときは、NHLのスター選手が勢揃いした。)
次回のミラノ&コルティナ・ダンペッツォオリンピックは、スカラ座鑑賞とセットで是非とも現地に行きたいものだが・・・うーむ、さすがに難しいか。ホテルも高騰するだろうしなあ。

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