クラシック、オペラの粋を極める!

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2022/1/19 藤田真央 ピアノリサイタル

2022年1月19日   藤田真央ピアノリサイタル  東京オペラシティコンサートホール
ショパン  2つのノクターン、バラード第3番
リスト  バラード第2番
ブラームス  主題と変奏
クララ・シューマン  3つのロマンス
シューマン  ピアノソナタ第1番


今、日本人の若手ピアニストの中でもっとも内外で活躍している一人であり、なおかつ今後の更なる飛躍も期待されている俊英、藤田真央。
思わず「真央くん」と呼びかけたいくらい顔もかわいくて、優しそうな笑顔がチャーミングで、女性ファンが多いのも大いに納得。私の隣の席の御方は、連れの人と「まだ1月なのに、今年もう3回目の追っかけ!」なんて会話をしていた。すげー。
単なる人気先行であれば困ったものだが、実力もガッチリ兼ね備えているので、苦言の一つも出てこない。天というのは時に二物という不公平を与えるのである。

彼、昨年に開催されたショパン国際コンクールの挑戦を検討していたそうだ。
ところが、なんとまあ、エントリーを忘れちゃったんだとか。
なんじゃそりゃ(笑)。
天下のショパコン、そこに命を懸けている人なら、忘れるなんて、そんなのありえない。それを忘れたということは、もしかしたら、チャイコの関門を通過し、順調に本格的な演奏活動に移行して、既に絶対的なものでなくなった、ということなのだと思う。

それでも、「もし出場していたら??」と勝手な夢想をしてしまう。
きっと反田恭平くんらと上位を争い、激しくしのぎを削ったことだろう。久々にクラシックの明るい話題、日本中が沸いたニュースだっただけに、ちょっと惜しかった気もするな。


さて、そんな真央くんのピアノリサイタルである。
ステージに登場する姿なんか、堂々とした感じが微塵もなく、飄々として、なんだか普通の学生の兄ちゃんみたい。
それがひとたびピアノを鳴らせば、めくるめく打鍵と音階の炎が狂おしいばかりに立ち籠める。たった1音で「あ、コイツ只者じゃねえ」と思わせる熟達の凄業師。かわいい顔をしているが、気をつけろ、この男切れ者なり。

作品、作曲家によって、変幻自在なタッチにより情景や表情を一瞬にしてチェンジさせるドライブコントロールも卓越、圧巻だ。

思わず腕を組み、唸り、考えてしまった。

藤田真央は天才なのだろうか?

つまり、あの煌めきの演奏は、思考によって成し遂げられているのか、それとも内面から沸き起こる溢れんばかりの音楽的衝動に従っている成果なのか。
そして、優しそうな見た目と、獰猛なピアニズムの烈しいギャップ・・・。

一人の若者を思い起こしてしまった。
将棋界の天才にして若き風雲児、藤井聡太

何だか私には同類、同じ匂いがするのだが・・果たして如何。