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2021/11/27 兵庫芸術文化センター管

2021年11月27日  兵庫芸術文化センター管弦楽団  兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
指揮  ユベール・スダーン
竹澤恭子(ヴァイオリン)
ベートーヴェン  ヴァイオリン協奏曲
ハイドン  交響曲第1番
シューベルト  交響曲第4番 悲劇的
 
 
兵庫芸術文化センター管弦楽団。通称PAC。私、初めて聴きました。
ステージに居並ぶオケのメンバー。外国人が目立つ。
このオケはアカデミーの性格を持っていて、世界中からオーディションでメンバーを選抜し、有期契約で活動を行っているとのことである。オーケストラの一つのやり方として、「あり」なんでしょう。特色やオリジナリティをアピールしつつ、公共機関における持続可能な財政負担の産物、といった一面もこれまた垣間見えるわけであるが・・。
 
そんなオーケストラであるが、アカデミーという観点で言えば、今回招いたユベール・スダーンは格好の先生と言えるだろう。
ベートーヴェンハイドンシューベルトという作曲家が並んだプログラム。「交響曲」というジャンルが確立する重要な節目の作品。クラシック音楽史における原点の作品を、まさにこうした作品の演奏を得意とするマイスター、スダーンが解き明かすわけで、これはワクワクする。
 
強弱、アーティキュレーション、奏法、バランス、そのすべてに目を行き届かせ、緻密に音を磨いていく作業。
 
面白いのは、音楽を作っていくにあたり、解釈をあれこれと付け加えていくのではなく、むしろ逆に余計なものを削ぎ落として、素材そのものを顕にするという工程が見られることだ。
オリジナルを活かすための必要最小限の処置。それは、オールドマイスターの絵画作品を補修するために、汚れを丁寧に拭い去る作業と似ている。そうした極意をスダーン先生が教えてくれるのである。
 
竹澤恭子さんのヴァイオリンも素晴らしかった。
演奏よりも作品そのものを際立たせる音楽作り。指揮者と同様に、彼女もまたベートーヴェンの忠実な下僕となって、音楽の真髄に迫ろうとしている。それゆえ、ソロと伴奏オケが一体化し、全体のハーモニーによって旋律が豊かに歌われていく。

このベートーヴェンのコンチェルト、技巧的な面で難易度はそれほど高くないはずなのに、演奏する人たちは皆口々に「難しい」と言う。それはつまり、「いかにベートーヴェンを表現できるか」「どこまで作曲家に迫れるか」にかかっている、ということなのであろう。
竹澤さんの演奏は、明らかにそこを目指していた。で、それが出来るくらいの熟達者に到達していた。スダーンもマイスターなら、竹澤さんもマイスター。
そんなコラボ演奏を聴けて、本当に楽しかった。