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2021/7/18 二期会ファルスタッフ

2021年7月18日   二期会   東京文化会館
ヴェルディ  ファルスタッフ
指揮  レオナルド・シーニ
演出  ロラン・ペリー
管弦楽  東京フィルハーモニー交響楽団
今井俊輔(ファルスタッフ)、清水勇磨(フォード)、宮里直樹(フェントン)、高橋絵理(アリーチェ)、三宅理恵(ナンネッタ)、中島郁子(クイックリー夫人)、花房英里子(メグ)   他


ロラン・ペリーの演出コンセプトによれば、「裕福な夫人アリーチェを始めとするブルジョア階級連中の、退屈しのぎのいたずら」なんだそうである。

なるほどねーと思った。

以前からこの物語について、私は訝しく思っていたことがあった。
ファルスタッフをおびき寄せ、まんまと嵌めて、洗濯物と一緒に川にドボンと突き落とし、懲らしめてやった。大成功。
以上、はいおしまい。それでいいじゃないか。十分じゃないか。
なのに、連中はそれだけに留まらず、更なる仕掛けを用意し、再度おびき寄せて、徹底的にいたぶり続けようとする。

なんで?? やりすぎじゃないの?? ちょっとひどくないか?

退屈しのぎねぇ・・。なるほど、そういうことか。
演出家ペリーの解釈、納得である。合点がいった。


そうした演出面だけでなく、今回の二期会プロダクションは楽しめた。
それは、歌手陣の健闘が大きかった。
これまで、二期会公演を鑑賞すると、大抵、まず演出面に注目が行き、次に指揮者やオーケストラに注目が行き、肝心の歌手陣にお褒めのコメントが行き届かないということが多かった。それは、取りも直さず二期会というカンパニーのレベルそのものだった。

では、なぜ今回歌手たちの健闘が目立ったのだろうか。

もしかしたら、作品がそのようにさせたのかもしれない。
ヴェルディ晩年の大傑作。歌手たちが最大限実力を発揮しやすい作品なのだ。
巨匠作曲家の巧みな筆によって、それぞれの役はキャラが際立ち、しかも程よくテクニカル。多重唱の魅力が散りばめられ、アンサンブル能力も求められる。
そうしたものに上手く乗っかり、あとは指揮者の入念な手綱さばきに歌声を委ねれば、自ずと聴衆のハートに届くというわけだ。

・・・なんか「せっかく頑張ったのに『作品のおかげだよね』じゃ、歌手の方々があまりにも報われないじゃんか」と言われてしまいそう。うーん、たしかにおっしゃるとおり。

やっぱ言い直しましょう。
「歌手の皆さん、よく頑張りました!良かったですよ!!(笑)」