クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2021/7/9 日本フィル

2021年7月9日   日本フィルハーモニー交響楽団   サントリーホール
指揮   沖澤のどか
三浦文彰(ヴァイオリン)
モーツァルト  魔笛序曲
ベルク  ヴァイオリン協奏曲
メンデルスゾーン  交響曲第3番 スコットランド


沖澤のどかさんは、なんとなく気になっていた指揮者だった。
私自身、別に若手、ニューフェイスを常に気にかけているわけではない。ブザンソン国際指揮者コンクールの優勝者だからといって、そんなの単なる一つの登竜門通過くらいにしか見ていないし、女性だからみたいな視点もまったくない。
まず、2年続けて東京・春・音楽祭主催のリッカルド・ムーティによる「イタリア・オペラ・アカデミー」に選出され、巨匠から音楽の何たるかを直伝されていたトピックスを見た時、「へぇー」と思った。
次に、昨シーズンからベルリンに拠点を移し、カラヤン・アカデミーに参加すると同時に、世界最高の指揮者の一人と称されるあのキリル・ペトレンコのアシスタントを行っているということを知った時、「ほぉー」と思った。

彼女には何かがあるのではないか。何かを持っているではないか。
その何かが、名指揮者を引き寄せている。
買いかぶりかもしれないが、そう思ったのだ。

で、今回初めて彼女が指揮するコンサートを聴く。本公演は、元々は別の外国人指揮者で予定されていたもので、コロナの影響で来日不可となり、その代替により出演することになったもの。もちろん私も、沖澤さんの出演が決まったことで、チケットを買った次第。

そのタクトに注目する。
基本に忠実な印象。とても丁寧で、オーケストラをぐいぐい引っ張ろうみたいな力みはない。スコアは掌握しているし、オケとの間合いも程良い。
音楽的にも、しっかりとした起伏があって、表情があって、色彩的だ。いいじゃないか。

一方で、どことなく優等生っぽい感じもする。そつがなく、強烈な個性、キャラは見当たらない。
そこらへんは、果たしてどうなのか。
例えば、同じ若手女性指揮者で、既に頭角を表しているミルガ・グラジニーテ・ティーラなんかは、「ちゃんと私のやるとおりに演奏してよね!」みたいな強い押しがひしひしと感じられて、ある意味とても指揮者らしい。沖澤さんはどうやらそういうタイプではなさそうだ。

これからもっともっと進化していくだろうから、もう少し長い目で見ながら注目していこう。

彼女は11月の神奈川フィル定期公演にも出演する予定で、シベリウス交響曲第5番などのプログラムを並べている。私も馳せ参じる予定だ。