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2020/11/23 都響

2020年11月23日   東京都交響楽団   サントリーホール
指揮  小泉和裕
メンデルスゾーン  交響曲第4番 イタリア
チャイコフスキー  交響曲第2番


コロナのためペンディングしていた主催公演について、他のオーケストラが実施方向で元に戻す動きを見せ始めているのに対し、都響は依然として慎重姿勢を崩していない。
現時点では、予定していた定期公演などをいったん全リセットし、独自の行程指針に基づいて、「都響スペシャル」と銘打った特別演奏会をポツポツと開催している状況だ。

そこらへんは、やっぱり「東京都」という看板を背負っているからであろう。小池都知事が先頭に立って感染対策に必死に取り組んでいるのに、お客さんを集めて公演を開催して、それで万が一クラスターが発生したら、本当にシャレにならんもんな。


さて、そういうことで、都響スペシャルに行ってきた。
お目当ては、チャイ2である。
メインがチャイ2だぜよ、チャイ2。悲愴でもチャイ5でもなく、チャイ2。
渋ぃ~。
こういうプログラム、オレっち大好き。

そういうわけだから、前半の「イタリア」は、はっきり言って前座扱い、期待度はそれほど大きくなかったのだが、どっこい、これがとても良かったのだ。
フレッシュな音が綺麗に湧き立ち、快活で、まさに演奏の愉悦が聴き手に伝わってきた。
改めて感じ入ったが、都響の合奏能力、アンサンブル精度はすこぶる高い。

私自身も、「メンデルスゾーンのイタリアをこれほど楽しく、大げさに言えば感動的に聴けたのは、いったいいつ以来だろう?」と思った。何だか思わず感謝したくなった都響の「イタリア」だった。

続いてお目当てのチャイ2。
こちらも同様で、純粋に都響の充実した演奏を堪能。
音がヴィヴィッドで、ビビッときた。(つまんねえシャレか?)
チャイコらしい民謡的な旋律の抑揚、うねりや盛り上がり方が何とも心地良い。
指揮者小泉さんの音楽の作り方やピークの持っていき方も上手いんだと思うが、それよりもきっと、都響の皆さんの献身的な演奏に打たれたのだと思う。

コロナの影響を受けた演奏活動の自粛で、コンサートが当たり前ではなく一期一会の機会なのだということを、奏者一人一人が心に留め置きながら演奏しているのだろう。


パンデミックのせいで、我々が日常で失った物は大きく、代償も計り知れない。
でも、一方でこういう事態だからこそ、改めて大切なことに気付くこともある。

音楽はかけがえのない物。
それは聴き手の我々にとってもそうだし、演奏する側のプロの皆さんにとってもそう。

うーん、いいコンサートだった。