クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

レンタカー旅行のエピソード

8月20日午前11時のウィーン・フィルコンサートを聴き終えた我々は、名残を惜しみつつ、モーツァルト生誕の古都を離れた。
この日、本当は午前から、近郊のザルツカンマーグートに点在する美しい湖を車で巡るはずだった。しかしコンサートを入れてしまったため、予定が狂った。
もっとも、天気は曇りで下り坂気味だったし、ドライブ日和とは言い難い。ここは寄り道せずにまっすぐ宿泊滞在地、湖水地方の拠点でもあるバード・イシュルを目指すことにした。

運転はOくんに任せた。私はというと、ウィーン・フィル鑑賞を終えて少し気が緩んだからだろうか、あるいは旅の疲れが出てきたからだろうか、助手席で居眠りを決め込んだ。

自分としては、何の悪気もないつもりだった。運転を交代で行うのは、そうやってお互い適宜疲れを取るのが目的だろうし、安心して居眠りするというのは、何よりも運転手を信頼している証である。

ところが、Oくんの思いは若干違ったらしい。
助手席に座る以上はナビゲートが務めであろう。自分はそうやってきた。慣れない海外で運転するのは大変なのだから、運転手だけでなく助手席の方も気合を入れて、「次の目的地に無事に移動する」という意識を共有すべきだろう。

だというのに、居眠りとはいい気なもんだぜ、ったくよ。

・・・と、後々、ずいぶんと経ってから、二人で酒を飲みつつ懐かしい旅行を振り返った際、チクッと言われました(笑)。
チクッ・・イテテテ

実は話は最終日に飛ぶ。ウィーンのホテルを出発し、帰国するためウィーン国際空港に向かう時も、私は運転をOくんに任せると、やっぱり隣で居眠りを決め込んでしまった。

「じゃ、到着したら起こしてねー! よろしくー!」

Oくんはちゃんと空港にたどり着けるか、緊張と不安があったのだという。間違った方向へ行ったでは済まされない。事故なんか絶対に起こせない。日本への帰国がかかっているのだ。当然だわな。

それなのに、隣のヤツときたら、また居眠りかよ!

空港に到着し、ムクッと起き上がって放った私の何気ない一言。
「おっ、ご苦労!」
これに、Oくんは心の中で「テッメー!」と思ったんだとさ(笑)。

あららぁ!?
いやいやいや。何をおっしゃいますか、あーた、信頼の証ですがなー(笑)。

後々チクリと言われたこと、まだあった。
旅の後半からは連日移動となり、手洗いした洗濯物を干して乾燥させることが難しくなった。
そこで私は、まだ乾ききってない自分のパンツや靴下などを、車の後部座席とリアガラスの間にあるトレイスペースにバーンと広げ、移動中に乾かす作戦に打って出た。

ガラスを通しての日光に当てれば乾きも早い・・・これ、我ながらひじょーにナイスアイデアだと思った・・のだが・・・。
「あのさあ、常識ってもんがあるだろうよ!? 親しき仲にも礼儀ありだろうよ!?」
同じく何年も経ってから、叱られてしまいました。

なんで~!? ダメっすか?? 親しき仲には無礼講って・・あ、そんな言葉はないか。
いいアイデアだったんだけどなー。実際、乾いたし(笑)。

旅行で長い時間を共に過ごすと、時々ふと人間の本性がバレる、ということですかな。


車でのエピソード、もう一つ、最後。

ルツェルンを発ってブレゲンツに向かうまでの途中のハイウェイのこと。運転していた私は、二つに別れる岐路で、方向を間違ってハンドルを切ってしまった。「あっ、違う!」と気が付き、慌てて路肩に停車したが、その時既に、別方向への一方通行路に少しだけ侵入してしまった。(ほんの少しだけだよ・・)

元の幹線道路に戻りたい・・・。
ここならまだハンドルを切り返せるよな。ちょっとバックするだけで、決して逆走にならんよな。ぎりセーフだよな。交通量も多くないし、えい、こっそり戻っちゃえ。

ということで、発進しようとしたちょうどその時・・。

パトカーが通りがかってしまいました。
オーマイガッ。なんというバッドタイミング・・。
車を停め、警察官様がこっちに向かって歩いてきます。あっちゃー・・・。

「どうしました? ここは駐停車禁止エリアですよ。」
私は焦り、慌ててしまい、稚拙な英語をまくし立て、必死に弁解した。

警察官は、提示した私の国際免許証をしばらく眺めていたが、やがてヒョイと返却すると、そのまま立ち去っていった。

咎めなし。
お許しいただいたのである。見逃してくれたのである。
いやーーー、どうもすみませんー。

この時、私がまくし立てた英語、焦っていたせいで、なんだか低レベルな英単語を並べたことは覚えているのだが、実際に何て言ったのかは、すっかり忘れてしまった。ま、別に思い出したくもないし、いいや。

今回、この初ヨーロッパ旅行記をブログでご披露するにあたり、事前にOくんに「書くよ」と予告してから、彼はこれらの一連のエピソードについてツッコミを入れたくて、ずっと手ぐすね引いて待っていたようだ。

ハイハイ、Oくん、お待たせー。それじゃ、心ゆくまでどうぞ!