クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

ムジークフェラインのバルコニー席

ウィーン・フィル定期演奏会(@ムジークフェライン)のチケットを買う場合、基本的に我々のような部外者は、席の場所を選ぶ権利など無いと言っていい。運良く手に入った席をありがたく買わせていただく。手に入っただけで上等なのだ。
(チケット手配をブローカーに依頼すれば、席種の希望くらいは叶えてくれることと思うが。)

今回12月9日の公演、私が運良く手に入れた席は、バルコン・ローゲンと呼ばれる、2階バルコニー席のステージ寄り1列目だった。サントリーホールで言えばRAブロックの付近。開演前に自分の席から撮った写真がこれ。位置とアングルはお分かりいただけると思う。

f:id:sanji0513:20191225095921j:plain

さて、このムジークフェラインのバルコン・ローゲン。たとえ1列目であっても、座席に深く腰掛けたら、ステージの大半は見えない。下手したら、指揮者さえ見えない。だから、みんな座席に浅く座って前屈みになり、覗き込むようにして鑑賞する。
ホール側も、そういう鑑賞スタイルになってしまうことを前提にしていて、前屈みになった際の肘掛け台がちゃんと設置されている。
つまり、バルコニー席では、前屈みの鑑賞は必ずしもマナー違反とは言えないのだ。
こうした席、ムジークフェラインだけでなく、欧州の馬蹄形歌劇場の場合、状況はどこも似たようなものである。

日本では、後方に座っている人の視界を妨げるので、背もたれに背を付けての鑑賞、というのが基本マナーだ。これを守らないと、後ろの人から小突かれることがある。(私も、遠慮なく小突く。)

ところが、ここではそれが通用しない。2列目以降の人はほとんど視界不良エリアだが、みんな黙って受け入れ、音だけを鑑賞している。文句は言わない。文句があるのだったら、もっと良い席のカテゴリーを買え、ってこと。
どうしてもステージの様子を見たい場合、静かに後ろに下がって、立ち上がって鑑賞する。そうしている人は決して少なくない。

私はかつてウィーン・フィル公演で、手に入ったチケットの座席がバルコニー後方席で、着席してみたらステージがまったく見えなくて、絶句したことがある。
その時、とっさの判断で、開演前にホールを飛び出し、入り口で慌てて書いた「どなたかチケットを譲ってください!」の紙を掲げ、良席を買い直し、再入場した。ダブリ買いの余計な出費だったが、そんなの気にしてられるか、だった。

シューボックスタイプのコンサートホールは、こうしたデメリットが存在する。日本の東京オペラシティホールも、一部のバルコニー席(特に3階)はステージの半分近くが見渡せない。
世界的にワインヤードタイプのコンサートホールが人気なのは、こうした事情も一理あるのかな、と思う。

さて、これから、あるいは将来、ムジークフェラインで鑑賞する機会がある方は、以上について是非お気をつけいただきたい。

もっとも、一番上に書いたとおり、ウィーン・フィルの場合、基本的に席の場所を選ぶ権利が無いわけで、どうしようもないじゃないか、という御意見もあろう。

どうしたらいいか。
簡単だ。
安い席に手を出すな、高い席を買え、である。
こうした視界不良席は、ちゃーんと席種が低く、値段が安くなっている。

格言「ウィーン・フィル@ムジークフェラインでは、ケチってはいけない。」
(単に記念入場だけ、というのなら話は別だが。そういう人には、立ち見席がオススメよ。)

結局は金の問題なのかよ、とお嘆きのあなた。世の中って、そういうもんじゃね??