2019年11月24日 バッハ・コレギウム・ジャパン 東京オペラシティコンサートホール
指揮、チェンバロ 鈴木優人
バッハ ブランデンブルク協奏曲全曲
ブランデンブルクの全曲通し演奏を聴くのは初めてだ。
この協奏曲は、それぞれの曲によって編成が変わるため、通し演奏はなかなか難しいのだという。指揮兼チェンバロの鈴木優人さんも「はっきり言って、当時のバッハの時代よりも自分たちの方がずっと演奏している」と鼻高々に話していた。まあ、そうなんだろうね。
でもこれこそが、まさしくBCJの持ち味であり、看板なのだろう。
演奏は、その看板の名に恥じない。楽器、奏法、ハーモニーの重ね方、さすが専門家たちだと唸らせる。中でも、第5番で現れるチェンバロ・ソロの素早いパッセージの鮮やかさは、まさにリーダー鈴木さんの面目躍如といった感じだ。
ところで、先日のベルリン・フィルの感想記事で「ブル8を演奏したことがある」と書いたが、何を隠そう、私はブランデンブルクのごく一部もやったことがあるのだ。第3番第1楽章を演奏し、仲間内の発表会で披露したのである。(学生時代なので、大昔だ。)
その時、実は第3楽章もチャレンジしたのだが、難しすぎて私を含めド素人軍団の手に負えず、あっけなく断念したという苦い思い出付き。
今回の演奏を聴いて、懐かしいあの頃の時代が一気に蘇ったが、と同時にプロの妙技に舌を巻いた。
日頃、無責任に感想批評を書いているが、プロっていうのは本当にすごいのだということを再認識。いつも偉そうなことを書いて、どうもすみません。
この日もたくさんのお客さんが集い、会場は満員。
私はというと、堂々とバロック音楽好きと胸を張って言えない。決して避けてはいないが、あくまでも大好きなクラシック音楽という大きな全体の中の一部にあるもので、関心を引いた公演に足を運ぶ程度だ。
だが、こうしてBCJ公演の会場を見渡すと、明らかにバロック好きというお客さんを多く見かける。(なんとなく雰囲気で分かる。)このジャンルに確固たるファンが存在していることを実感する。
で、そうした人たちが、BCJという集団を絶大に支持している。創立30周年という偉大な歴史も、大いに納得だ。