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2016/9/8 N響特別演奏会

2016年9月8日   NHK交響楽団 特別演奏会   NHKホール
合唱  新国立劇場合唱団、栗友会合唱団、NHK東京児童合唱団
エリン・ウォール(ソプラノ)、アンジェラ・ミード(ソプラノ)、クラウディア・ボイル(ソプラノ)、カタリーナ・ダライマン(メゾ・ソプラノ)、アンネリー・ペーボ(メゾ・ソプラノ)、ミヒャエル・シャーデ(テノール)、ミヒャエル・ナジ(バリトン)、アイン・アンガー(バス)
マーラー   交響曲第8番 千人の交響曲
 
 
N響90周年。
特別公演に相応しい作品。この一公演のために集結した各国からの実力派歌手たち。チケットはソールドアウト。
役者は揃い、舞台は整った。
 
これだけの大人数なのに、これだけ音が複雑にひしめいているのに、ヤルヴィが紡ぎだすサウンドはなんと透き通っているのだろう。まるで純度の高い蒸留水。精密なアンサンブルの構築でしか成し遂げ得ない輝き。こういう整った演奏は、まさに日本のお家芸のようなもの。ヤルヴィはオーケストラの性能、特性を音楽に見事に反映させたと言える。
ひょっとすると、ホールの音響や湿度といったマイナス面も考慮しながら、これを克服するためのアプローチでもあったのではあるまいか。そこまで思わせるほどのしたたかな計算ぶり。あっぱれな出来栄えであった。
 
歌手たちも、皆個性的なのに、最終的に作品と一体化しているのは、それぞれがアンサンブル能力に秀でているからなのか、それともヤルヴィの統率力の賜物なのか。
まさか一流歌劇場の常連K・ダライマンがこの一公演のために駆けつけてくれるとは思わなかったが、そんな彼女でさえも役の一端に徹している。あくまでも主役は作品であった。
 
オーケストラの各奏者の意気込みは、客席にひしひしと伝わった。気合いが入った時のN響は天下無双である。特に、首席トランペットの音色が絶品だった。
 
90周年ということは、100周年は10年後か・・・。遠いような、それほど先でもないような・・・。
その特別公演を振る指揮者はいったい誰だろう。
 
楽しみに、そして気長に待つとしましょうか。