日本でも、消費税増税の軽減策をきっかけに、にわかに脚光を浴びるようになったキャッシュレス化。
しかしそうは言っても、そんな簡単に世の中は変わらないし、人々のマインドも変わらない。現金主義、まだまだ根強いなんじゃなかろうか。
はたして海外はどうなのだろう。
お隣の中国はもう完全にキャッシュレス社会になっているという話だし、欧州でもスウェーデンなんかは既にそうだと聞く。
先日、フランスとドイツを訪れたのだが、ここで、旅行者として自分が体感した状況を紹介しようと思う。あくまでも短期滞在の観光旅行で一面的に感じたことであり、正確な実態を掴んでいるわけでもなければ、データや統計を実証検分したわけでもないことは、予め断っておきたい。
実は今回の旅行、準備段階で手持ちのユーロ現金がわずか2万円くらいしかなかった。当然、出発前の空港の両替所でユーロを買い足そうか迷った。迷った挙げ句、この現金だけで旅行してみようと決めた。とりあえず、食事や買い物など、支払いが必要な物すべてにクレジットカード決済を試みることにしたのだ。
なお、オペラチケット、飛行機代、遠距離鉄道切符代については、事前にネット購入してあったため、最初から現金支払いの対象外となる。
また、お店を選ぶ際、クレジットカードを受け付けている店を探してしまえば、キャッシュレス化が浸透しているのかどうかの実態は当然のことながら見えてこないので、何も考えずにお店を選ぶようにした。
最初にフランスに二泊。
その間にかかった経費は、次のようなものだ。
市内地下鉄や空港までの郊外鉄道の交通費、レストラン飲食費、博物館入場料、駅構内やスーパーでのお惣菜や飲み物等買い物代、ホテル宿泊代。以上。
この間に使った現金、ゼロ。
一銭も現金を払わなかった。全部クレジットカードで済ませることが出来た。
ある程度ちゃんとしたレストランやホテル宿泊代でカード利用が可なのは当たり前だが、小さな居酒屋風ビストロでも、飲み物などで数百円分しか買わなかったスーパーでも、いずれもカードが使えた。
次にドイツに渡り、二泊した。
その間にかかった経費は、フランスと概ね同様だ。
ミネラルウォーターボトル1本だけを買った雑貨店でカード払いを断られたのは、それはまあそうだろう。これは対象外とみなそう。
で、レストランの場合だが、家族経営のような小さなお店だと、カードが使えないお店、結構あるんじゃないかというのが、私の実感だ。今回、フランクフルトにおけるランチ(居酒屋風)とディナー(トルコ系料理)は、いずれもカード不可だった。
また、ある程度ちゃんとしたレストラン(ミュンヘンでのランチとディナー)ではカード使用可だったが、お会計を頼むと、担当の給仕さんは釣り銭がばっちり用意されたデカイがま口財布を持って現れた。カード払いを依頼すると、「あ、カードなの?」みたいな反応だった。
つまり、ドイツでは日本と同様に現金主義がまだまだ根強く、キャッシュレス化が完全に浸透していないことが分かる。(あくまでも一面的なものだが)
日本人に現金派が多いことの理由として、「クレジットカードはなんだかんだ言っても借金」「財布という手持ちを通じて金銭管理したい」というのがあるという。
ドイツ人も、同様のマインドが働いているのであろうか。
厳格できっちりしていることについて、ドイツ人と日本人には共通点があるということを聞いたことがある。
私の正直な感想としては、そうとも言えるし、そうとは言えない部分もある。
だが、金銭感覚、金銭管理に関しては、もしかしたら似ている部分があるのかもしれない。