クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

ラグビー・ワールドカップが始まっている

開幕から一週間、熱戦が続いているラグビー・ワールドカップ。スタジアムはどこも満員だし、強豪国がほぼランキングどおりの実力を示していることもあって、まずは上々の運びだ。
5試合観戦を予定している私だが、最初の試合として、9月22日、アイルランドスコットランド(@横浜国際総合競技場)に行ってきた。

横浜駅に到着早々、面食らう。大挙してやって来た外国人観戦客。ギョッとして思わず後ずさり。物凄い人数。そして、どいつもこいつも皆デカイ。
サッカーの国際試合でも、熱心なサポーター、特にイギリス系のファンは大勢押し寄せてくることで有名だが、こいつら本当に極東の果てまでやってきやがった。片手にビール缶を持ち、既にすっかり出来上がって、大声で応援チャントを歌っている。まだスタジアムに着いていないのに。
そんな中でも、伝統衣装のキルトを着用し、誇らしげに闊歩するスコットランド人、マジかっこいい。

好カード。強豪国、伝統国同士。シックスネイションズの一試合を日本で観られる悦び。
ここは一つ、「いやぁ、凄かったぁ!」という感想を思い切り綴りたいところだったが・・。
実を言うと、興奮度という意味ではそれほどでもなかった。これは少々残念なことだった。

音楽鑑賞もそうだし、何でもそうだが、「生」に勝るものはない。
特にスポーツ観戦の場合、生ならではの迫力は、テレビという媒体を通してでは伝わらない。
それが常識のはずだった。

ところが、である。

今回、ラグビーの場合、生の醍醐味を十分に堪能できるかどうかは条件次第、という厳然たる事実を思い知った。

必要な条件 - それは、良い席をゲットして観るということだ。

この競技特有の肉弾戦。この迫力を体感したいのなら、ある程度フィールドに近い方がいい。
かといって、近すぎると全体の動きが把握できない。
ラグビーは、攻防が非常にシステマチックなスポーツなのだ。
ということで、2階席の中央から前方あたりがベスト。
また、攻撃方向に対して垂直に敷かれるオフサイドラインは観戦上のカギになるので、それを認識できるセンターのハーフウェイライン付近がいい。端の方だと分かりにくい。

で、そういう「2階前方のハーフウェイライン付近」なんて席のカテゴリーは、これはもうS席でもダメで、超高額なVIP席になっちゃうわけ。
なんだか身も蓋もないわな(笑)。お手上げ。

それから、スタジアムはデカすぎない方がいい。陸上フィールドが無い方がいい。
横浜のスタジアムはデカすぎる。
デカすぎると、選手の息遣いや体をぶつけ合う音が伝わってこない。迫力がかなり削がれる。

また、ラグビーは狭い密集の中で塊になる場面が多い競技。そうした密集プレーは、局面から遠く離れた席では、はっきり言って何をやっているのか全然わからない。

今回私が買った席は、ランクで言えばカテゴリー2。良席なはずなのだ。価格は2万2千円。
で、場所は、1階席前方、フィールドの角付近。ゴールラインのポールが近い。
自分の目の前で攻防を行っている時はいい。
だが、反対側の向こうに行ってしまうと、もう完全にアウト。密集プレーでは、フィールド内じゃなくて、設置されている大型スクリーンを眺めるという本末転倒。

これがカテゴリー2の席で観戦した正直な体験談。2万2千円だぜ!? おい。

高い席を買わずとも、観戦に最適なベストポジションを確保できる手段がある。

テレビなのだ。

可動式も含め、スタジアム内にまんべんなく設置されている高画質カメラが、あらゆる方向から選手たちの一挙手一投足を追い、その表情までを捉える。
オフサイドラインが常に分かる垂直方向からの構図が完璧に保たれ、俯瞰アングル、クローズアップアングルは自由自在。
密集プレーの中で何が起こっているか、はっきりと捉えてくれるし、ペナルティも一目瞭然。必要に応じて、リピート再生やスローモーション再生を、これでもかと繰り返してくれる。

更に、高感度集音マイクが、選手の息遣いも激しくぶつかり合う音も、逃さず拾う。
本来なら、生だからこそ聞こえるはずの音が、生では聞こえずに、実はテレビでしっかり捉えられているという衝撃的な事実。そんなバカな・・・。

それでもなお、スタジアムでなければ体感できない物を挙げるとするならば、それは「臨場感」「雰囲気」ということだろうか。
ワンプレーごとに湧き立つ観衆の反応。大声を上げて応援する楽しさ。得点時の歓喜の雄叫び。
これらすべてを数万人が同時に共有する一体感。

観戦予定の残り4試合のうち2試合(準決勝)が、再び横浜国際総合競技場のカテ2なので、今後も若干の戸惑いを抱えながら観ることになると思うが、もうとにかく仕方がない。次は2階席なので、それならまた違った感覚が得られることだろう。

まあ、口が裂けても、「テレビの方が良かった」なんて言いませんよ。
たとえ、密かにそう感じたとしても。
いったいいくら払ったと思ってるんだ(笑)。