今年の秋に来日公演を行うフィラデルフィア管弦楽団の演奏曲目の一部が変更になった、という連絡案内が来た。
思わずため息をついてしまった。
「あーあ。またチャイコンかよ・・・」
コンチェルトをやるなとは言わないが(と言いつつ、個人的に外来オケ公演ではコンチェルトは不要だと思っているが)、もっと個性的で興味を引くような作品を用意してくれないものか。どいつもこいつも、まったくバカの一つ覚えのようにワンパターンの曲ばかり。いい加減にしろと言いたくなる。
最初に「プロコの第2番」というプログラムを見た時は、心が踊った。そう、俺っちはこういう曲を聴きたいわけよ。さすがはバティアシュヴィリ。選んでくる曲が一味違うわい。
結局、いつもの保守的なプログラムに変更になってしまったのは、いったいどういう事情か。
個性的なプログラムより王道の名曲で勝負したいというソリストの意向なのか。
それとも、「もっとたくさんお客さん呼びたいから、お馴染みの曲にしてほしい」という主催者都合のゴリ押し変更なのか。
メインのマラ5で十分お馴染みの曲だろ?
私がこのように名曲中の名曲のワンパターン・プログラムに異議を唱える理由。
第一には、色々な作品を鑑賞したいからというのがある。
だが、同時にもう一つ、正直かつ切実なる理由がある。
飽きたくないのだ。曲を聴いて辟易したくないのだ。
名曲と言われる作品は、一生聴き続けることになる。一生の間、常にフレッシュに聴きたいと思うし、いつまでも感動したいと思う。
だから、大切にしたいのだ。偉大な作品を大量消費によって貶めたくないのだ。
そういうわけだから、名曲はスペシャルな鑑賞の時のために取っておきたい。
ところが、メインの曲はそうやって取捨選択が出来るが、サブメインのコンチェルトはそれが出来ない。
以上の趣旨内容については、ほんの少し前の5月に「コンチェルトの功罪」というタイトルでブログ記事に書いたばかり。
今回のプログラム変更に対する抗議の意味を込めて、鑑賞を拒否ってしまおうかと考えている。前半プロをぶっ飛ばし、メインだけを聴こうというものだ。
バティアシュヴィリには申し訳ないけど。
バティアシュヴィリは本当にいいヴァイオリニストだと思うけど。
あ、いや、コンチェルトだけをパスし、演奏が終わったらカーテンコールの間にすかさず客席入りして、アンコールだけ聴くことにするか。
そういう手もあるな。それもアリだな。
もちろん、気が変わって最初から全プロ聴いちゃう場合もあります(笑)。あしからず。