クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2018/10/6 アッティラ

2018年10月6日   パルマ王立劇場(テアトロ・レージョ)(パルマヴェルディ音楽祭)
指揮  ジャンルイジ・ジェルメッティ
演出  アンドレア・デ・ローサ
リッカルド・ザネッラート(アッティラ)、ウラディーミル・ストヤノフ(エッツィオ)、フランチェスコデムーロ(フォレスト)、マリア・ホセ・シーリ(オダベッラ)   他
 
 
小ぶりなブッセート・ヴェルディ劇場の魅力も捨てがたいが、イタリアの名劇場の一つであるレージョも、その名に相応しく、気品があって美しい。伝統的で豪華な馬蹄形劇場のパルコ(ボックス席)に着席すると、自分もステータスを得て貴族になったような気分になる。なんたって王立だもんな(笑)。
それに、やっぱりイタリアはオペラの国、カントの国。歌劇場は特別な場所なんだと思う。
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にここパルマは、昔から耳の肥えた熱い聴衆が支えていることで有名で、「パルマの舞台で認められたら、どこで歌っても大丈夫」と言われるらしい。
 
今回、自分のパルコの場所がステージに近かったので(つまり真横から見る感じなのだが)、ピット内が非常によく見えた。
そこでジェルメッティのタクトを注意深く観察することが出来た。
 
すっかりベテランの雰囲気が漂い、なんとなく巨匠らしくなってきたジェルメッティ。
タクトの姿はお世辞にもカッコ良いと言えない。むしろぎこちない。ヴェルディ特有の溌溂としたリズム感はあまり鋭くない。
一方で、タクトの力は大いに漲り、充満するので、爆発力が半端ない。この爆発力を持っている限り、ジェルメッティはヴェルディ指揮者と名乗ってもいい。ヴェルディの音楽に欠かせない、必要不可欠なものだ。
 
また、合唱が絶品だった。
いかにもイタリア人らしく、縦の揃えは合わないのだが、イタリア語特有である母音の発音、喉がパカーっと開いた声の圧力は尋常ではない。日本のカンパニーでは決して味わえないド迫力。何度も恍惚状態に陥った。
 
歌手はやっぱりタイトル・ロールのザネッラートか。(ベルゴンツィさん、やったぜ!)
威圧的な声ではないが、渋さと色気があって、役に合っていた。
 
マリア・ホセ・シーリも素敵だ。
オダベッラという役は男勝りの強い女性なので、このためパワフルに大声を出す人が多いが、シーリはそこで勝負せず、端正な発声に徹しているところが好印象だ。
 
演出は、さすがに大昔のフン族の物語ではなく、現代もしくは普遍的なものに置き換えられているが、基本的にはオーソドックス。
演出を見せるのではなく、歌で魅せる。
あらためて、イタリアの正統かつ王道を見せつけられた。
 
この日の公演は、開演時間が午後5時。終演は午後7時半。
ということは、ディナーをとる時間がたっぷりある。
パルマは美食の街でもある。
奮発して、パルマでも一、二を争う有名リストランテを日本から予約した。
 
前菜アンティパストで注文したのは、もちろんパルマ産生ハム、プロシュート。これを食せずにパルマを語るなかれ。悶絶するくらいの激ウマ。
 
普段から「オペラ鑑賞がすべて。オペラ、おしゃれ、食事の3点セットで全体的な雰囲気を楽しもうとするミーハーな連中とは違うぜ。一緒にしてくれるなよ。」と偉そうなことを言っているオレ。
だが、素晴らしい公演の後においしい料理とおいしいワインを味わい、「うーん、やっぱ、有りかも(笑)」とつい実感してしまう、パルマの秋の夜長。