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2018/9/27 ロンドン響2

2018年9月27日   ロンドン交響楽団(NHK音楽祭)   NHKホール
ジャニーヌ・ヤンセン(ヴァイオリン)
シマノフスキ  ヴァイオリン協奏曲
 
 
ラトルがベルリン・フィルに残した功績は幾つかあると思うが、その一つは、ベルリン・フィルのレパートリーを拡大し、多彩なプログラムを組み込んだことだと思う。
とは言っても、これが来日公演ということになると、招聘側の強い要請(つまり、金を払うスポンサーや聴衆の希望)のせいか、どうしてもドイツ物を中心とするオーソドックスな作品が多かった。
 
今回のロンドン響のバラエティ豊かなプログラムを見て、「本当はラトルはこういうのがやりたかったんだろうな」と思った。
“伝統”“名門”のベルリン・フィルを卒業して、縛りから解放されたんじゃないだろうか。
アバドルツェルン祝祭管と幸せな余生を過ごしたように、ラトルもこれから本当にやりたいことに突き進んでいくに違いない。
 
この日のプログラムも、本当に魅力的。
 
マ・メール・ロワは、下手に演奏すると退屈でつまらん音楽に聞こえる、一筋縄ではいかない曲。
ラトルとロンドン響の演奏はお見事だった。
木管の音色など、とてもキラキラしていて色彩豊かだったが、フランス的なサラサラ感ではなく、質感があった。響き重視ではなく、構成感で勝負していた感じで、それがいかにも標題音楽らしく、おもしろかった。
 
「構成感」「いかにも標題音楽らしく」というのは、シマノフスキヤナーチェクもまったく同様の印象で、これはもうラトルの狙いどおりの一貫性、統一感でまとめ上がったもの。
 
特にヤナーチェクは、きっと多くの聴衆が「この曲、面白いじゃん!」と思ったことだろう。
個性的な音楽だが、単なるエキゾチックな響きを聞かせて終わるのではなく、スコアという設計図の精妙さを誘発し、浮き彫りにするため、仕上がり感が高度なのだ。
 
演奏が終わったばかりなのに、もう次回の来日公演のことを夢見、待ち遠しくなる。「次は何? 何を聞かせてくれる? 何を持ってきてくれる?」
 
本当にこれからますます楽しみなラトルとロンドン響の黄金コンビ。