クラシック、オペラの粋を極める!

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2016/2/15 シュターツカペレ・ベルリン2

2016年2月15日   シュターツカペレ・ベルリン   サントリーホール
指揮・ピアノ  ダニエル・バレンボイム
モーツァルト  ピアノ協奏曲第22番
 
 
今回の一連の公演、もちろん最大の目玉はブルックナー交響曲の全曲一挙上演なのだが、みごとに華を添えているのが、バレンボイム自身の弾き振りによるモーツァルトのピアノ協奏曲だ。
 
いや、これらの演奏、華を添えているなんてもんじゃない。前座にするのはあまりにももったいなすぎる。ひっくり返してコンチェルトをメインにしても、少なくとも私は全然文句を言わないよ。それくらい素晴らしい。
スケールが大きく、なおかつ表現力が多彩。繊細さや上品さには欠けるのだが、元々バレンボイムはそこで勝負していない。大胆で力強くて、カッコイイ。
 
弾き振りのため、自らのピアノだけでなくオーケストラの隅々まで気を配っているのだが、時に音が手中に収まりきらず、枠から飛び出てしまうことがある。
ところがそんな際どいシーンさえも、まるでモーツァルト独特の遊び心のように即興性に変化させてしまう。これもまたバレンボイムのすごいところ。
 
オーケストラの反応も絶妙。ピアノとの掛け合いはツボにはまっている。そのあたりは、長年にわたってコンビを組んできたシュターツカペレ・ベルリン流の最高の合いの手と言っていいだろう。
 
今回のチクルス、ブルックナーにおいて「どうせ聴くのなら大作を!」ということで、5番、7番、8番の日を選んだ方も多いだろう。
でも、こうしてモーツァルトが入った公演に接すると、つくづく豪華で贅沢なプログラムだと思う。最高のモーツァルトを聴くことが出来た喜びは、殊のほか大きい。
 
 
ところで、今回コンミスの一人として来日した有希・マヌエラ・ヤンケさん。
真偽は不明だが、噂によると、「バレンボイムの元で音楽をしたい」とのたっての希望で、ドレスデンからベルリンに移籍したのだとか。
その気持ちは分からないでもないなあ・・・。
もっともドレスデンにはティーレマンがいるわけで、ドレスデンにいても最高の音楽パフォーマンスが約束されているはずだが・・。
なんとも究極の選択である。