クラシック、オペラの粋を極める!

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2015/10/8 ウィーン・フィル2

2015年10月8日  ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団   サントリーホール
指揮  クリストフ・エッシェンバッハ
モーツァルト  交響曲第39番、40番、41番ジュピター


 モーツァルト三大交響曲の一挙演奏を聴いたのは、何を隠そう今回が初めてであった。2006年にアーノンクールがVPOとの来日公演で演奏しているが、都合が合わず、聴けなかった。
 それぞれがコンサートのメイン曲になり得る名曲。贅沢なプログラムである。一方で、3つの交響曲に優劣など存在しないのに、単なる演奏順序の都合によって39番、40番を前座にしてしまうのはもったいないなどとも思っていた。
 しかしそこはウィーン・フィルである。彼らの演奏からは、母国の天才作曲家に対するリスペクトが感じられる。そのおかげで、風格に満ちた堂々たるメイン曲3つを聴けたという満足感が得られたのは最高の結果であった。一曲ごとにインターミッションを入れたのも効果があったと思う。

 エッシェンバッハは、かなり意識的に細かいアーティキュレーションを付けてきた。その積極的な姿勢は、6日の公演で「自己顕示性に乏しい」という印象を抱いた私にとっては、かなり意外なことだった。
 下手をすると鼻に付いたり、小賢しく聞こえるかもしれないし、実際にそう感じた人ももしかするといるかもしれない。
 だが、モーツァルト音楽の偉大なる寛容さと、程良くトランスレートするウィーン・フィルの演奏により、小細工は耳障りにならず、むしろ悦びへと変容する。そこにあるのは、伝統によって構築された大きくて温かい包容力である。

 我々がウィーンという街に魅せられ、憧れ、つい何度も訪れてしまうのは、彼の地にはこの包容力があるからだ。これこそがウィーンの魅力なのではなかろうか。