クラシック、オペラの粋を極める!

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2010/4/30 レンヌ歌劇場

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2010年4月30日  レンヌ歌劇場
モーツァルト  ルーチョ・シッラ 新演出
指揮  クロード・シュニッツラー
演出  エマニュエル・バステ
ティベリウス・シーム(ルーチョ・シッラ)、ジェラルディーヌ・カージー(ジューニア)、クリスティーナ・ハンマーストローム(チェチーリオ)、セレステ・ラツァレンコ(チェリア)  他
 
 
 天下のウィーン国立歌劇場。なんと、年間300日稼働だという。夏季期間を除けば、ほとんど毎日何かが上演されているというアンビリーバボーな劇場。(その夏季期間だって、オーケストラはザルツブルクで働いてます。いったいなんという連中!)
 そんなフル稼働の歌劇場である。いくら‘天下の’って言ったって、そう毎日連日連夜名だたる巨匠、世界的なスター指揮者が入れ替わり立ち替わり登場するかというと、決してそんなことはない。
 プレミエなど特別な公演を除き、ふだんのレパートリー公演を支えているのは、「え?誰それ?知らな~い」という職人的中堅指揮者たちなのだ。
 
 さて、今回レンヌ歌劇場でルーチョ・シッラを振ったクロード・シュニッツラー。ストラスブール生まれのフランス人。おそらく日本では無名だと思うが、彼もまたウィーン国立歌劇場にたびたび登場し、ごく普通のレパートリー公演を支える中堅指揮者陣の一人なのである。私も以前ウィーンでお目に掛かったことがあります。
 
 もちろん指揮者にとっては「ウィーン国立歌劇場に出演!」というのは名誉なことであり、経歴にハクが付く。今回配られたプログラムのプロフィールにもしっかりと載っています。
 ウィーンじゃ「誰それ?知らな~い」扱いされたって、ここレンヌでは「うぉっほん。えー、我こそは天下のウィーン国立歌劇場で活躍中のクロード・シュニッツラー様であるぞい。」のごとく、高くそびえ立っております(笑)。
 
 そして、そんなマエストロを迎えて、フランスの一地方都市の歌劇場管弦楽団も躍動的なタクトに敏感に反応して、実にきびきびした良い演奏を奏でております。
 
 プレミエ公演としての適度な緊張感もあり、歌手たちも実に丁寧にかつ一生懸命に歌い、演じている。総じて、フランスの一地方都市の公演にしては十分すぎるほどのレベルだ。こういうところはやっぱりヨーロッパ、実に「さすが」だと思う。
 
 ‘フランスの一地方都市’と書いたとおり、人口は20万人程度のごく普通の街。そんな街の中心部に立派な歌劇場があり、もちろんオペラだけやっているわけではないにせよ、年間プログラムを組んで質の高い上演をする。
いったい日本に20万人都市がいくつ存在するというのだろう?
その中でこうした上演を果たすことが出来る都市がいくつあるというのだろう?
どうせ、「市民会館」というハコだけ持っていて、宝の持ち腐れという有り様だ。
ここは素直にヨーロッパ、フランス、そしてここレンヌを讃え、羨望しようと思う。
 
また、こうした地方の中堅歌劇場は、スターの原石、卵が埋もれている場でもある。出演している歌手たちは総じて若い。こうして地道に研鑽しながら、ひょっとすると10年後、20年後に飛躍を遂げ、名の通ったスターになる可能性を秘めているわけだ。
 とりあえず、今回出演した歌手たちの名前はきちんとデータベースに取り込んでおこう。将来、「あっ!この人って、あの時レンヌで歌っていた人だったんだ!」って驚きの発見が起こることを期待しよう。
 
 欧州の中小歌劇場巡りにはかような楽しみもあるのだ。