2009年9月15日 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 サントリーホール
指揮 ズービン・メータ
R・シュトラウス 交響詩ドン・キホーテ
R・シュトラウス 交響詩英雄の生涯
当初、今年のウィーンフィル、行くべきか迷った。9月はスカラ座もあり、財政圧迫かつスケジュール過密になりそうだったというのもあるが、ためらいの一番の理由は指揮者だった。
今、世界は変革を求めている。アメリカは「CHANGE」。日本も「政権交代」。
で、ウィーンフィルはメータかい?(笑)
なんか、旧態依然とした派閥の領袖みたいな感じがしましてね、えへへ。
私と同じ考えの人は少なからずいたはずだよ。だって、チケットは売り切れずに当日券が発売されていたんだから。ウィーンフィルで当日券が出るって、ほとんどないことでしょ?
しかもなあ、わずか二日前のスカラ座で、次世代を担う将来のカリスマ、ガッティの超名演を聴いちゃったあとだしなあ。
結論。
やっぱ行って良かった。指揮者がどうのこうのではなく、とにかくやっぱりウィーンフィルが素晴らしいわけですよ。いやほんと、うまいわ。溜め息出まくり。
変革と言えば、ウィーンフィルだって例外ではない。女性団員も増えているし、国籍もバラエティ豊かになっているみたいだし、若返りも着実に進行している。これまでウィーンフィルの来日公演コンサートマスターはほぼキュッヒルで決まりだったが、ドン・キホーテでコンマス勤めた女性のダナイローヴァさん、英雄の生涯でコンマス勤めたシュトイデさん、二人ともソロがめちゃくちゃ上手で、なおかつ見事にオケ全体を統率していた。
その一方で、ウィーンフィル伝統の味わい深い薫りは色濃く残っている。演奏技術は依然として天下一品超一級だ。
メータも良かったでしたよ。
彼は、以前は強引に舵を切って船を動かしている感じであったが、最近は風向きを読み、風にまかせて船を進ませることができるようになった。(と思う。)要するに円熟のなせる技ということでしょうかね?
ということで、ウィーンフィルの場合
「指揮者がちょっとアレだしな」
なんて理由でパスしてはいかん。このオーケストラでしか聴けないサウンドがある。これを逃すべからず、だ。
ところでこの日、皇太子殿ご臨席ご鑑賞の陰に隠れていたが、かつて「自民党をぶっ壊す!!」と叫んだ元首相も二階最前列で聴いていた。
自民党はこのたび本当にブッ壊れてしまった。我が世の到来で浮かれる民主党とは対照的に次期総裁候補も決まらずバタバタしている自民党。一方でその張本人は引退して悠々自適のウィーンフィル鑑賞。いかがなものか?(笑)