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2013/3/16 日本フィル

2013年3月16日  日本フィルハーモニー交響楽団定期演奏会  サントリーホール
指揮  ピエタリ・インキネン
シベリウス  交響曲第1番、第5番


 本当は15日の同一公演に行こうとしてチケットを買っていたのだが、仕事の延長のような飲み会に屈した。
 当初は飲み会の方を断っていたのだが、かなりヤバい雰囲気だったので、直前になって出席を決めた。チケットはドブに捨てたが、参加者から「よく来てくれたね。チケット代無駄にしちゃったわけでしょ?」と逆に株が上がった。

 そうか、そういう効果もあるのか(笑)。
 公演を諦めるのは胸くそ悪い気分だが、場合によって切り札になることもあるわけだな・・・。

 もっとも、翌日に同一公演があったから決断ができた。外来など替えのきかない公演だったら、難しかっただろう。


 さて、日フィルのシベリウス・チクルスである。
 このオーケストラにとって、シベリウスが重要な柱の一つであることは間違いないだろう。創立指揮者の渡邉暁雄氏がフィンランドの血を引いていたこともあり、第1回の定期演奏会のメインプログラムは交響曲第2番だったというし、同氏とは全曲録音も果たしている。2001年にはネーメ・ヤルヴィともチクルス公演を行なっている。(私も行きました。)

 別にこのチクルスをやるためにインキネンを首席客演に迎えたわけでもないだろうが、フィンランド人指揮者を選んだのは日フィルの歴史からして少なからずの意図と期待があったはずだし、ポストを与えた時点で、チクルス公演は決まったようなものであったに違いない。インキネンは既にニュージーランド交響楽団と全曲録音を完成させている。日フィルにとって願ったり叶ったりの指揮者というわけだ。

 我々ファンにとっても、誠に歓迎すべきことである。比較的上演頻度が見込まれる2番を除き、特に3番以降の交響曲はなかなか聞く機会が得られない。だから私も大いなる期待を寄せているのであります。

 そのインキネンのシベリウスであるが、前半の1番はやや期待を下回った。ニュアンスやテンポ、強弱を細かく変化させながら作っていくアプローチで、それはそれでこの指揮者のやり方だと思うが、統一感や構築感が削がれている印象を持った。

 一転して、後半の5番は、そうした細かい作業がプラスに働き、この曲が持つ多彩な色合いが大いに引き出されていて名演だった。

 シベリウス交響曲は、2番までと3番以降とでは作品そのものがまるで別物になっている。だから1番と5番を並べて演奏する場合には、まったく異なるアプローチで曲を作っていかなくてはならない。インキネン自身、その違いについてインタビューでも語っているくらいなので、どシロウトの私が口を挟むまでもなく十分に理解しているとは思うのだが、少なくとも私には両曲の演奏の出来具合に差が生じたように感じた。


 この日、前半後半ともに演奏が終わると、熱いブラヴォーがあちこちから飛んだのだが、本当に演奏に感動してのブラヴォーだったのだろうか。日フィルは、公益財団法人認可に向け、「どうか支援をお願いします!」と必死の呼び掛けを続けている。なんか、「素晴らしかったぞ」というブラヴォーというより、「頑張れよ!」という声援なんじゃないかと思えてしまうのは私だけであろうか??

 同様に、カーテンコールの最後にインキネンの合図に合わせて、ミンコフスキ&ルーヴル宮のように楽団員全員が一斉にお辞儀をするのも、「ありがとうございました!」ではなくて「よろしくお願いしまーす!」に見えてしまう(笑)。

 すみませんね。余計な勘ぐりで。