1988年8月19日 オーストリア放送交響楽団(ザルツブルク音楽祭) 祝祭小劇場
指揮 ウィトルド・ルトスワフスキ
アンネ・ゾフィー・ムター(ヴァイオリン)、クリスティアン・ツィメルマン(ピアノ)
ルトスワフスキ 葬送音楽、チェインⅡ、チェインⅢ、ピアノ協奏曲
さあ、コンサート会場への出発に向け、気分は盛り上がってきましたよ!
サンジくんとOくん、ついにザルツブルク音楽祭、本格デビュー。じゃーん!
このために、きちんとネクタイ、ワイシャツ、スラックス、革靴、日本から持ってきたでござる。
会場へ歩いて行くなんて、そりゃカッコ悪いよな。やっぱセレブならタクシーで乗り付けなきゃ、だよな。
ということで、ホテルの受付の人に頼みました。
「あ、すまないけど、タクシー呼んでくれる?」(我々、これからザルツブルク音楽祭ざーます。)
タクシーがホテルに到着。運転手に告げました。
「あ、すまないけど、祝祭劇場、行ってくれる?」(我々、これからザルツブルク音楽祭ざーます。)
祝祭劇場付近に到着。運転手に代金を支払いました。
「どうもね。あ、お釣りはいいからさ。」(我々、これからザル・・しつこいか)
完全に浮かれている若者ニッポン人。
しかーし、会場で目にした光景は・・・。
ジャケットに蝶ネクタイという正装の紳士、イブニングドレスの淑女。エレガントに社交を楽しむハイソサエティな連中ども・・・。
やつらこそ本物のセレブ。その決定的な身分差に、のぼせ気分は打ち砕かれた。ガクッ。
うんにゃ、格好なんて関係ねえ。ここは音楽を聴く場だろ。耳で勝負だ。クラシックファンの日本代表を舐めんなよ。大事なのは音楽なんだよ、音楽!
ステージに、麗しのアンネ・ゾフィー・ムター様、御登場。
「うっわーーーー。すっげー美人・・・」
ぼーっと見惚れてしまった。(我々の座席は、一階の最前列だった。)
で? 肝心の音楽はどうだったんだよ?? 大事なのは音楽なんだろ?
「あ、いや、その・・・あんまり覚えてません(笑)。」 スマン。