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2013/12/31 ジルベスター第9

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2013年12月31日  ジルベスター・コンサート    フィルハーモニーホール
指揮  マルクス・シュテンツ
管弦楽  ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団
合唱  ケルン・ドームヴォーカルアンサンブル
アンネ・シュヴァンネヴィルムス(ソプラノ)、インゲボルク・ダンツ(メゾソプラノ)、マキシミリアン・シュミット(テノール)、マルクス・ブッター(バス)
ベートーヴェン  交響曲第9番 合唱付
 
 
 2013年の大晦日。聴き納めの場所として、パリからのアクセス面も考慮しつつ、私はケルンを選んだ。
 この時期はどこもかしこも第9、こうもり、名曲コンサートになってしまうのは仕方がないが、このうち2つをダブルヘッダーではしごできる都市があった。それがケルンというわけだ。究極の豪華欲張り(?)二本立て。まさにオレ様に相応しい年越しではないか。はっはっは。
 
 ところでこのギュルツェニヒ管弦楽団、決してメジャーとは言い難いオケなのでご存知ない方もいるかもしれないが、ケルン市のオーケストラで、歌劇場管弦楽団としての顔も持っている。
 だとすると、すぐに気が付くことがある。
 それはこのコンサートのすぐ後に予定されている「こうもり」(コンサート形式上演)のことだ。
 
ジルベスター・コンサート(第9)  午後6時開演  会場:Philharmonie
市立歌劇場公演(こうもり)     午後8時開演  会場:Oper am Dom
 
 両公演は主催も会場も異なるが、演奏を担うのは共にギュルツェニヒ管だ。果たして同じメンバーによるものなのか、それとも二つのチームを編成するのか、そこらへんは大いに気になるところであった。
 会場はそれほど離れていない。ていうか、近い。第9はカーテンコールも含めてもせいぜい1時間半程度なので、間に合うといえば間に合う。実際、私もはしごするわけだし。
 
 でも観客と演奏者では状況も事情も全然違うだろう。
 普通に考えれば、まったく異なる公演を同じ奏者が移動して演奏するというのはあり得ないと思う。となればやはり2チーム編成だが、ケルン歌劇場はそれを可能にするほどの大所帯なのか、そんな余裕がある団体なのか、ということなのだ。
 ということで、私は何人かの奏者をチェックし、顔を覚えておくことにした。コンマス、打楽器奏者、トランペット奏者・・・。
 
 前置きが長くなったが、公演の感想に移ろう。
 実を言うとこの第9、はっきり言って全然期待していなかった。「今年はティーレマンウィーン・フィルの第9も聴いたしなー。ま、オマケだよなー。」ってなもんである。ひでえな。
 
ところが、だ。
これが予想を超えて素晴らしかったのである。
 
 マルクス・シュテンツによるアプローチは古楽奏法だ。金管楽器も一部古楽器を使用している。ベートーヴェンの演奏で古楽スタイルを用いるのは今どき珍しくもないが、良かったのは「古楽スタイルでやってみました」といった外形的なもので終わらすのではなく、しっかりと楽曲そのものに狙いを定めていたことだ。古楽奏法はあくまでも手段であって、目的ではない。古楽奏法を用いることによって、そこから何を見出すか。それが重要なのだ。
 で、今回の演奏ではっきり見えたことが二つある。その時代の音楽様式、それからスコアの精妙な造形美である。そこを詳らかにしていたことが実に出色であった。
 
 合唱はケルン市立歌劇場合唱団ではなく(この後のこうもりを担当)、得体のしれない団体だったが、案の定アマチュア合唱団レベルだったのがちょっと残念。
 
 ソリストでは4人の中で一番のビッグネーム、シュヴァンネヴィルムスが真っ赤なドレスで登場して一際目立っていたが、歌そのものはそれほど目立っておらず、普通だった(笑)。まあ、第9の場合はソロ4人で1セットみたいな感じなので、仕方がない。
 ただ、シュヴァンネヴィルムスという名前で多少の集客効果はあったのではなかろうか。公演予告のホームページに掲載されていた写真は、オーケストラでも指揮者でもなく、彼女だったし。
 かく言う私も「お!シュヴァンネヴィルムスが歌うじゃん!」と思ったわけで。
 
 チケットはソールドアウトし、会場は超満員。そのせいか、終演後のブラヴォーはかなり熱気があったが、私はそそくさと会場を後にして次の公演に向かった。