シチリア旅行記をちょっと中断して、昨日に行った国内コンサート。
2026年8月7日 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 サントリーホール
指揮 沼尻竜典
小菅優(ピアノ)、上森祥平(チェロ)、大島亮(ヴィオラ)
R・シュトラウス 交響詩ドン・ファン、ブルレスケ、交響詩ドン・キホーテ
聞くところによると、神奈川フィルがサントリーホールで演奏するのは33年ぶりなのだそうである。
マ・ジ・か!?
なんで? たまたま機会が無かっただけなの?
それとも、「俺たちの居場所は神奈川だ!」みたいな意地を張ってるの?(笑)
まあそういうのも悪くはないとは思うけどね。ちゃんとホールもあるしね。
そんな久しぶりの東京凱旋なので「どれどれ?」とばかりに行ってみた・・・
というか、単純にプログラムに惹かれた、が正解かな。当方、シュトラウス・マニアなので。
指揮者の沼尻さんはオペラが得意なので、聞く前の想像では、ドン・ファンとかドン・キホーテとか、絵巻物のようなストーリー性、起承転結の抑揚を作ってくるんじゃないかと思っていた。
ところが、実際に聴こえてきたのは、管弦楽の特性、例えば音量やバランス、旋律の音型、表情などをシステマチックに配置し、構築させるアプローチだった。意外と言えば意外だったけど、この手法はシュトラウスを演奏する際には、かなり有効だと思う。
また、「久しぶりの東京公演なんだから、神奈川フィルの力を見せつけるぞ!」という楽員たちのやる気を引き出す意味でも、かなり有効なアプローチだったに違いない。
実際、演奏を聴いて十分に満足したし、シュトラウス・サウンドを満喫した。
ブルレスケでソロを弾いた小菅さんの演奏も秀逸だった。
ちゃんと作品全体を理解していて、ピアノを弾きつつ、オーケストラにもツッコミを出して掛け合いを求めるあたりは、さすがだなと感心。ただし、それに対するオーケストラの応答はちょっと薄かったので、掛け合いの部分ではもうちょっとだったかも。個人的な感想だが。
ドン・キホーテでソロを担当したチェロとヴィオラの奏者は、二人とも神奈川フィルの首席奏者。
こういう「ソロをオケ奏者が担う」演奏というのは、楽員たちの「彼のためにも一生懸命頑張ろう」という気合いが垣間見えるし、演奏終了後には「良かったね! 最高だったよ!」みたいな仲間のねぎらいが見えるので、そうした光景はとても清々しい。見ていて温かい気持ちになった。
さて、話は変わるが、沼尻さんと神奈川フィルのコンビは、これまでに何度となくオペラ作品を演奏しているわけだが、そこには「神奈川県民ホール」の存在が大きかった。コンサート形式上演でなく本格的なオペラ上演は、同ホールがあってこそだった。
そのホールは、老朽化が進んだため、現在休館中。
いちおう再建する方針のようだが、現時点ではまだ計画策定を検討している段階。再開の見込みはまったく未定だ。
神奈川フィルによるオペラ公演もそうだけど、外来団体による来日公演においても、県民ホールは重要な役割を果たしていた。
オペラファンとしては、ぜひ再建整備の上、早くオープンしてくれることを願わずにはいられない。