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2008/11/22 ロッシーニ・フェスティバル オテッロ

2008年11月22日 ロッシーニ・オペラ・フェスティバル日本公演 オーチャードホール
ロッシーニ作曲 オテッロ
指揮 グスタフ・クーン
演出 ジャン・カルロ・デルモナコ
グレゴリー・クンデ(オテッロ)、イアノ・タマール(デズデーモナ)、ブルース・スレッジ(ロドリーゴ)、フェルディナント・フォン・ボトマー(イアーゴ)他


 楽しみにしていたペーザロ・ロッシーニ・フェスティバルが始まった。オテッロは現地では昨年にプレミエとなったものだ。今年のペーザロでマオメットを指揮したグスタフ・クーンが、なぜかそのマオメットではなくオテッロを振った。

 ジャン・カルロ・デルモナコは、イタリアの演出家としては珍しく現代チックな舞台を作る。シンプルな舞台であるが、「扉」を舞台の中で自由に動かしながら、それを敷居として使って空間を作っている。また、並べられた扉が主役達を取り囲み、その扉を開けて中を覗きこむという行為が、主役の心の中を覗きこんでいるように見える。覗き込まれた側の心理的な動揺をうまく表現していると思った。

 音楽的には「さすがペーザロ!」と思う場面もあったが、圧倒的な水準と言うほどでもない。主役の二人、グレゴリー・クンデとブルース・スレッジは健闘していたが、高音のアクートやコロラトゥーラは結構きつそうだった。
「現地でのロドリーゴはファン・ディエゴ・フローレスなのになあ・・・」と無い物ねだりをしてみる。もしフローレスだったら、さぞかし聴衆は熱狂しただろうな。

 私のとなりに座っていた人とその連れの人との会話が聞こえた。その人たちはどうやらヴェルディオテッロは知っていたが、ロッシーニのは初めて聴いたようだ。

「イアーゴがテノールなんて、なんか変な感じ」
「男性の主役が全部テノールなんだね」
ロッシーニだと、あんまり悲劇っぽくないね。軽いね(笑)。」

 横で聞いてて、私もクスッと笑ってしまった。多分、みんなそう思っているよ、きっと。