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2019/4/9 スイス・ロマンド管

2019年4月9日   スイス・ロマンド管弦楽団   サントリーホール
ジャン・フレデリック・ヌーブルジェ(ピアノ)
ドビュッシー   遊戯、ピアノと管弦楽のための幻想曲
デュカス   交響詩魔法使いの弟子
 
 
スイス・ロマンド管、もう半世紀以上経っているのに、いまだにアンセルメの名声と共にあるというのは、驚き以外の何物でもない。世界中でこれほど過去の指揮者の栄光に引きずられているオケは、あとはもうジョージ・セルの薫陶を受けたクリーヴランド管くらいではなかろうか。
 
はたして、当のオーケストラ奏者や関係者はどう思っているのかねえ・・。
もしアンセルメの名声がブランドと化し、それがオーケストラの箔になっているのなら、決して悪い話ではないが。それとも本心は「いいかげん脱却したい」だろうか。
 
このオーケストラのイメージに関しては、実はもう一つあって、拠点のジュネーブがフランス語圏のため、そのサウンドについて、フランスのオケと同様、「色彩」「繊細」「精緻」「光沢」などといった形容でつい語られてしまうのである。
 
ステレオタイプだよなー(笑)。
スイス・ロマンド管の歴代の指揮者を眺めると、フランス系の人はほとんど見当たらないというのにね。
 
ただ、首席指揮者にジョナサン・ノットを迎えたというのは、こうしたイメージに包まれているオーケストラにとって好都合かもしれない。
なぜなら、この指揮者は万能型タイプで、どんな作品でも自由自在に音楽を作ることができるからだ。
抱かれているイメージのとおり、フランス的な色彩感のある音楽を作ることも、お手の物。
重厚なドイツ音楽だって、お手の物。(ついでに、私の苦手な現代音楽もお手の物)
まさに今回の来日公演の二つのプログラム(もう一つの方はマラ6)は、そうした指揮者のフィールドと持ち味を活かしたものと言えそうだ。
 
ネットで昨日の公演を聴いた人の感想を見てみると、案の定というか、固定イメージのとおり「色彩的」「繊細」などと書き込まれているのをいくつか見かけた。
 
しかし、それを「スイス・ロマンド管の音色の特徴」と決めつけ、おしまいにするのは早計だ。
かくいう私も、全体的にそういう印象を受けたのだが、あくまでも指揮者ノットがドビュッシーストラヴィンスキーのスコアから「色彩」や「繊細」を見抜き、丁寧に拾い出した成果ではないかと思う。
 
指揮者がどういう音楽づくりをしているか。オーケストラからどういう音を引き出しているか。
それを見つけることがポイントなのだ。