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2019/3/28 B・ターフェル リサイタル(東京・春・音楽祭)

2019年3月28日   ブリン・ターフェル 東京春祭歌曲シリーズ   東京文化会館小ホール
ブリン・ターフェルバリトン)、ナターリャ・カチュコヴァ(ピアノ)
シューベルトイベール、クィルター他の歌曲集
 
 
同じ日同じ時間帯の隣の大ホールでは、R・ムーティによる「リゴレット」作品解説講演が行われていた。
バッティングである。
指揮者が作品について何を考え、どのように解釈するのかを直接聴く機会というのは貴重だ。ましてやそれがヴェルディの第一人者ムーティというのであれば、なおさら。
非常に悩ましかったが、名歌手の至芸の鑑賞を選ぶ。話よりも音楽だ。
 
ただ、チケットを買った時点で未定だったプログラムが発表された時は、天を仰いだ。演奏曲は一つも知らなかったからだ。
 
つまらなかったら嫌だなあ、眠くならなければいいけどなあ、という不安を抱えて会場入りしたが、結果はまったくの心配無用だった。結論として、ムーティではなくてこちらを選んで正解だと心から思った。上に「名歌手の至芸」と書いたが、まさにその言葉どおりだった。
 
私が一曲も知らなかったプログラムは、ブリン・ターフェルとはどういう歌手なのかを知らしめるため、本人が自信を持って選んだ絶妙の物だった。
ウェールズ出身であることから英語の歌が並んだが、素朴で味わい深く、どれも心に響いた。
ターフェル自身、キャリア上、今が円熟の極み、絶頂期にあるのではないか。丹精を込めた歌唱。天性の明るさ。歌詞と音楽を同一化させながら歌う表現力の多彩さは、歌詞を知らなくても何を歌っているのか、曲のテーマが何なのかが、手に取るように分かる。
 
また、歌の合間に作品の紹介や自らのエピソードを、ユーモアを交えながら語るサービス(非常に分かりやすい英語)は、演奏者と鑑賞者の距離を縮めるのに大貢献。エンタテイナーぶりを大いに発揮。
親しみやすく、好感度は上昇の一途。おそらくすべての来場者が「機会があったら、次も必ず聴きたい」と思ったことだろう。さすがはブリン・ターフェル
 
で、次の機会はすぐ先にある。オランダ人、期待だなー。