クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

ラ・ボエーム

昨日のクリスマス。自室でオペラのビデオを観た。
クリスマスにちなんだオペラと言えば・・もちろんボエームだ。
 
この定番中の定番とも言える名作オペラ。初心者向けだし、これまでにも何度も観ている。私にとっては、椿姫やカルメンなどと同様、今さら改めて自宅で観るほどのものではないはずだった。
 
だけど、ふと思った。
そうやって「別に無理して観る必要なし」で何となく遠ざかっているが、最近全然観ていないんじゃないの?
劇場での鑑賞は、2011年6月のメトロポリタン・オペラ来日公演以降なし。自室に所蔵している映像ソフトを観たのは、いつ以来なんだかもうまったく覚えがない。
そしたら、何だか無性に見たい気持ちが湧いてきたというわけ。
 
鑑賞したのは、1982年にロイヤル・オペラ・ハウスで上演されたライブ収録映像。レーザーディスクで購入したものをDVDにダビングして保存しておいたやつ。画質も良くなくて、さすがに古さを感じさせる。
それでもこの映像を見返すのは、とても意義深い。
 
ボエームは初心者向けだが、まさに私がオペラ初心者だった大昔、ボエームという作品に出会い、この映像に出会った。そしてハマった。
 
なんて美しい音楽なのだろう。なんて悲しい物語なのだろう。
 
当時、2つの場面で、涙が止めどもなく落ちた記憶がある。
一つは、誰もがもらい泣きする、ミミの息が絶え、ロドルフォが泣き叫ぶラストのシーン。
もう一つは、ロドルフォがそこにミミがいると知らず、マルチェッロに「彼女の病気は重く、助けられない」と話してしまい、それを聞いたミミが「私、死ぬのね」と悟り、自ら別れを申し出るシーン。
悲しい。悲しすぎる。ううっ、泣いちゃうぜ。
 
今、改めて鑑賞したが、両方とも心打つ場面ではあったが、涙は全然流れない。じ~んとも来ない。
年を取って、「悲しい」という感情がすっかり乾いてしまったのか。
それとも、「所詮はドラマだしぃ」みたいなひねくれた感情が支配してしまうのか。
「別れるだ、死ぬだで泣かせようったって、そう甘くないぜ」ってか?
あー嫌だ。年は取りたくない。
 
観終えた感想としては、「ずいぶん年月経ったなあ」という、結局年寄りじみた感慨。
この収録舞台に出演しているロドルフォ役のN・シコフ、ミミ役のI・コトルバシュ、マルチェッロ役のT・アレン、みんな揃いも揃って若ぇ、若ぇ。
 
ところでこの演出版、およそ40年も続いたロングラン、ロイヤル・オペラ・ハウスの看板演目の一つだったが、最近、ついに新演出に取って代わったようだ。名プロダクションが姿を消してしまうのはなんだか残念だが、時代の流れには逆らえないということか。