2018年12月23日 バッハ・コレギウム・ジャパン サントリーホール
指揮 鈴木雅明
年末と言えば「第9」一色に染まる日本のクラシック界だが、サントリーホールの恒例企画で、クリスマスの季節に毎年「メサイア」を上演し続け、今年でなんと18回目だという。第9とは一味違う鑑賞機会として、完全に定着しているということだろう。
「クリスマスに音楽を聴きたい」という人たちが集い、なんと完売の公演。ステージにもそれらしく、赤い装飾が施され、ツリーも置かれた。オーケストラ奏者や合唱団も、それぞれが赤のワンポイントを身に着ける凝りよう。聖夜を楽しむ雰囲気は作られていた。
ところが、鈴木雅明氏とBCJの演奏は、クリスマスらしさ、心に染み入るような暖かさとは一線を画し、ひたすらヘンデルの音楽の普遍的な美しさを追求したものだった。こうしたアプローチは、この類まれなる音楽家たちの演奏を聞いて、いつも感じることである。
様式にはこだわっているが、目指しているのは音楽の本質。単なる古楽演奏の試みで終わらせず、純粋に音楽に対する共感度の高さで勝負している。浮かび上がってくるのは、作品という素材そのものの素晴らしさ。
さすがはバロックの求道者たちだ。
有名な「ハレルヤ」コーラス。
普通の音楽ファンにとっては「メサイア」イコール「ハレルヤ」みたいなもので、この曲が演奏されるのをじっと待っていたと思うが、全曲のずっと後半なんだよね。いや待たされる(笑)。でも、さすがに盛り上がった。
この「ハレルヤ」の部分では、一部の習慣として、起立して鑑賞することがあるらしい。
へー。知らんかった。
会場内に、注意書きの掲示があった。「そういう習慣が一部あるが、周りのお客様にくれぐれもご配慮ください。」
そりゃそうだろう。別に宗教儀式に参加しているわけじゃないんだから。コンサートですよ、これは。
それでも、そういう掲示を出したということは、起立するお客さんが実際にいるということなのだろうか。
この公演中も、そういう人がいたのだろうか。とりあえずは気が付かなかったが。