クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

美術鑑賞の一日

昨日は仕事を休んで一日美術鑑賞。午前から夕方まで上野の森を彷徨い、3つの展覧会をはしごした。
 
ちょうど今、美術界で画期的な事が起きている。
フェルメール展が上野の森美術館で開催中で、8作品が集結しているということだけでもすごいのだが、更に国立西洋美術館ルーベンス展、東京都美術館ムンク展をやっているのだ。これほど有名な画家の作品群が、半径300メートル圏内に集結している。まるで、ウィーン・フィルバイエルン放響とミュンヘン・フィルが同時に来日公演をしているかのような賑やかさ。
(そう考えると、世界的な一流オケが一同に会することが別に珍しくない東京のクラシック事情は、かなりすごいと言える。慣れちゃってフツーに感じているけど。)
 
フェルメールについては、一時ブームとなり、絶大な人気は今も衰えを知らない。その希少価値や、集めて並べることの困難性、話題性に勢いを得て、観覧料は破格の2,700円(前売り2,500円)。しかも、日時指定入場制を敷いている。恐るべし。
 
かくいう私も、かつてフェルメールの魅力にハマった一人で、全作品の鑑賞制覇、全所蔵美術館現地踏破、デルフト巡礼、の3つを生涯目標に掲げていた。
現在、盗難紛失中のイザベラ・ステュアート・ガードナー美術館の作品を除き、全作品制覇は終了。
また現地踏破も、残るはアイルランド国立美術館のみ。もちろんデルフトも訪れた。
ということで気分的にはほぼ達成。最近はにわかファンと一緒にされるのが嫌で、自称フェルメールマニアの看板はいつの間にか下ろしてしまった。
 
今回の展覧会でも、個々に言えば何度も鑑賞していて、新しい出会いはない。
それでも足を運んだのは、デルフトから紆余曲折を経て全世界に離れていった各作品が、機会を得て集結し、そこに陳列されているという様は、やはり見てみたいと思ったからだ。
 
ところで、今回の展示会場である上野の森美術館以外に、実は隠れた一品が存在している。
「聖女プラクセディス」
フェルメールが描いたものだと100%は断定できないが、その可能性が高く、フェルメールの世界的権威によって‘いちおう’真作と認定されている作品が、国立西洋美術館に常設展示されているのだ。
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あくまでも‘いちおう真作’なのであまり話題にされないが、日本にフェルメール作の可能性が高い作品が常設展示されているなんて、すごくないか?
(オークションに出品された作品を日本人がおよそ11億円で落札し、そのまま国立西洋に寄託したらしい。)
 
この聖女プラクセディスが東京に引っ越してきたのが、2015年。比較的最近だ。
今回、ルーベンス展と併せて見学。国立西洋の常設展としてこれを鑑賞したのは初めてだったので、何を隠そうフェルメール展の作品よりもビビッときた。大混雑の上野の森に比べて、こちらは絵の前に佇む人はごくわずか。みんな知らないのかなー。
 
この日、3つの展覧会のはしごをするためにわざわざ休みを取ったのは、混雑を避けるためだった。
ところがどっこい、どの会場も盛況。平日でこれだったら、休日はさぞや大変だっただろう。
特にムンク展の超目玉、有名な「叫び」は、会場内のその展示品だけのために列が出来ていて、絶句してしまった。
 
大変だなあ・・。
おそらくオスロに行って現地鑑賞すれば、余裕の楽勝で見ることができるのだろう。私は未だノルウェーには行ったことがないので、歌劇場と併せて早く訪れたいなと実感した。
 
現地鑑賞といえば、そうやってあちこちに出掛け、歌劇場ならぬ美術館巡りを続けていると、このように日本で展覧会に行った時、作品のタイトル掲示に記されている世界各地の所蔵美術館名を見て、「そうかー、あそこから来たのかー。」という感慨に浸ることが出来るのだ。現地の美術館を訪れた記憶、旅の思い出が蘇るわけである。
もちろん目の前のその作品のことまでは思い出せないけどね。そりゃいくらなんでも無理。
 
それにしても、3つの展覧会のはしごは、激しく体力を消耗した。激疲れ、ヘトヘト。ちょっと欲張りすぎたかなー。