指揮 ワレリー・ゲルギエフ
ユジャ・ワン(ピアノ)
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番
それにしても、つい先週までミュンヘンが誇るもう一つのオーケストラが日本で公演を行っていた。プログラムも一部重なったし、世界的な人気ピアニストがツアーに同行したというのも一緒。
なんだかすごいことだよなー。
我々ファンにとっては、まるでミュンヘンにいるかのごとく体験できるわけで、ありがたいことこの上なしであるが。
さて、まずはユジャ・ワン嬢。
派手なミニのワンピースで登場した彼女を見て、思わず呟いてしまった。
「あ、ピンクレディーだ・・」
そのままペッパー警部を歌って踊ってほしかったなー。なんなら一緒に歌うぞ。ワシはミーちゃん派だったなあ、懐かしいのう、うんうん。
・・・・。
えーと・・ユジャ・ワン嬢。
本当にまあ、よく指が動くこと。切れ味があるし、音色もキラキラしてるし、演奏している姿も颯爽としてカッコいい。
スターだな、彼女は。人気があるのもよく分かる。
まあどっちでもいい。とにかく楽しかった。
メインのブルックナー。
ドイツのオーケストラらしく、サウンドに厚みと潤いがある。感興の高まりもあり、立派な演奏だ。
だが、どうも何かが足りない・・。
なんだろう、その何か足りない物・・。なんだ?
演奏が終わって会場を後にし、帰路に着きながら、なんとなく「そういうことかなあ」と思い付いたこと。
イメージが湧いてこないのだ。
演奏から醸し出されるイメージ。景色でもいい。色でもいい。あるいはブルックナーの像でもいい。
演奏によって作り出されているサウンドのニュアンスは十分に感じられた。こういう響きを生み出したいというアプローチも感じられた。
しかしながら、全体のイメージは形成されないのだ。
ディティールにこだわっていたからだろうか。
ゲルギエフって、そういう指揮者だったっけ??
結局よく分からず、モヤモヤ感が残った分、後味悪しの演奏会。