クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2018/10/5 ブッセート

前回(2003年)ブッセートを訪れた際の交通手段は、レンタカーだった。
今回、どうやって行こうかと思案した。
 
電車で行くことは出来る。
ただし、田舎なので、幹線からローカル線に乗り換える必要がある。本数は少なく、時刻表を調べたが、効率的とは言えなかった。
 
そこで、電車でミラノからその乗換駅であるフィデンツァまで行き、そこからタクシーで向かうことにした。
タクシーなら、その機動力を生かし、ついでにヴェルディの生誕の家がある近郊ロンコレにも立ち寄ることが出来る。家の中は前回に見学しているためパスし、外観だけ眺めて懐かしみ、写真を撮ろうと考えた。これは我ながらナイスアイデアだと思った。
 
ということで、訪れました、ヴェルディの生家。
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そのタクシーだが、ロンコレまではちゃんと連れて行ってくれたのに、最終目的地ブッセートへはなんだか遠回りをされた。一旦逆戻りし、三角形の二辺を回るかのように向かわれてしまった。
これは果たして運ちゃんが道に不慣れだったのか、それともぼったくりされたのか。
 
ぼったくられたのかなあ・・。
 
私も「おい、ちょっと、遠回りじゃないの?」と指摘できなかった。
それが出来るほど、この付近に慣れていない。イタリア語もできない。運ちゃんを信頼してしまった結果、携帯GPSで運行状況もチェックしなかった。
 
結局文句も言わず、甘んじて受け入れてしまった小心者のオレ・・。
フィデンツァからロンコレ経由のブッセートまでで、支払った金額はジャスト50ユーロ。
このうち10ユーロくらい確実に無駄に取られている。失敗。気分が悪かった。
 
まあ仕方がない。悔やんでもお金は戻ってこない。気を取り戻そう。仕切り直しだ。
 
ということでブッセート。ヴェルディのゆかりの地。
街の中心部にこの堂々たるヴェルディ銅像
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まずは、ホテルにチェックイン。
ホテルの名は作品にちなんで名づけられたという「ドゥエ・フォスカリ(二人のフォスカリ)」。宿屋の御主人は、なんとあの名テノール、カルロ・ベルゴンツィの息子さんなのだ。
もちろん私はそういうことをすべて知っていて、あえてこのホテルを予約した。
(と言いつつ、ブッセートにホテルは少なく、選択の余地はあまりない。)
 
受付に行くと、それらしき人がいるではないか。間違いない、このおじさんだ。
「失礼ですが、カルロ・ベルゴンツィの息子さんですかね?」
「ええ、そうですよ。」
「おお~!!! グラッド・トゥ・シー・ユー! すみません、握手してください(笑)」
 
カルロ・ベルゴンツィ本人じゃないのに、なんだか感動してしまった。
 
このホテル、ヴェルディ劇場のすぐ隣にあるし、館内はヴェルディのポスターや絵が飾られていて、雰囲気がとてもいい。受付には、父ベルゴンツィのスカラ座でのリサイタルのポスターや、パヴァロッティとツーショットの写真なども貼ってある。ワクワクするホテルである。
 
ただし、部屋には一つ難点あり。
室内のシャワーの水圧が恐ろしく低かった。これまで私が経験した中でも最低レベル。いちおうお湯は出るんだけど、この水圧だと冬は風邪ひきそうだ。
 
ブッセートは小さな町なので、観光は地図がなくても大丈夫。商店のショーウィンドウには、ヴェルディ肖像画を飾っているところも多く、ゆかりの地であることを実感する。普通の観光客にとっては何の取柄もない町だが、オペラファンにとってはやっぱりここは聖地なのだ。
 
国立ヴェルディ博物館。
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ここはなかなか興味深い。
予めの想像で、ヴェルディの諸々の資料が展示されているだけかと思ったが、もう少しユニークだ。館内の一つ一つの部屋が、ヴェルディのオペラ作品をモチーフにしている。
ドン・カルロの部屋」「アイーダの部屋」みたいな。
それらの部屋の壁には、オペラの舞台設定の場所の絵が描かれ、作品にちなんだ絵画や舞台衣装などが展示されている。
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そして、各部屋ごとにそのモチーフとなっている作品の演奏がBGMとしてスピーカーで流れているのだ。周りに他のお客さんがいないと、思わず旋律を一緒に口ずさみ、歌ってしまう。
視聴ルームでは、ヴェルディのオペラの上演映像が流されていて(やっていたのはファルスタッフ)、時間が経過するのを忘れて見入ってしまった。
 
ここはファンにはたまりませんなあ。
ヴェルディを信奉する人は、ブッセートに行って損はないよ。