クラシック、オペラの粋を極める!

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2018/7/15 炎の天使

2018年7月15日   エクサン・プロヴァンス音楽祭   プロヴァンス大劇場
プロコフィエフ   炎の天使
指揮  大野和士
演出  マリウシュ・トレリンスキー
アウシュリネ・ストゥンディーテ(レナータ)、スコット・ヘンドリックス(ルプレヒト)、アンドレイ・ポポフ(アグリッパ/メフィストフェレス)   他
 
 
ピットのパリ管がめちゃくちゃ上手え。この作品を演奏する機会なんてほとんどなかったはずなのに、この「手玉に取ってる」感はいったいなんだ。まるでベルリオーズの演奏を聴いているようだ。
さすが。やっぱり実力世界一級のオーケストラは違うよな。
それと、ちょうどこの日直前、母国優勝のニュースが飛び込んだことで、楽員が俄然張り切って演奏したからだろうか。
オケのアシストコンマスである千々岩さんも「今日の歌手たちは大変だ。絶対にオケがガンガンに弾きすぎてしまう。」とツイートしていた。
 
そんなノリノリのオケをビシッと締めているのが、我らが大野和士
彼はモネ劇場時代でもこの珍しい作品を採り上げており、どこで何が鳴っているのか、どのような音形が展開されているのかを完全掌握している。このため、指示が機敏かつ的確。端正な造形。起伏の増縮も自在。指揮者というより、公演の進行ディレクターのような管理能力を見せつけていて、なんとも頼もしい。
 
一方、歌手については、ちょっと微妙だ。
主役レナータを歌ったストゥンディーテは、声質が暗くて重くて、残念ながら私の好みではない。
でも、カーテンコールでは、大きな拍手に包まれていた。ま、好みの問題だ。
ルプレヒト役のヘンドリックスも、なんだかパッとしない印象だったが、この人もやっぱり大きな拍手をもらっていた。うーん・・・。
ま、好みの問題(笑)。
 
演出についてだが、このオカルト怪奇作品を現代的に解釈しようとしたら、それはもう精神障害や妄想の出来事にするしかないのだ。(レナータは自傷行為の症がある。)
安易だが、結局これしか方法はなくて、実際にそういう方法で組み立てられていた。
意味不明なシーンや演技も数多いが、これも全部妄想のせい。
 
分かるよ。でもなあ・・。
別にいいじゃんか、「悪霊に取り憑かれました」で。正々堂々とオカルトで勝負してもいいと思うけどな。
だってさあ、プロコフィエフの音楽、狂気そのものなんだぜ。妄想じゃ説明つかんだろ、この音楽。
 
カーテンコールで主役の歌手たちが大きな拍手をもらっていたのというのは上に書いたとおりだが、一際大きなブラヴォーをもらっていたのが、指揮者の大野さん。やりました!おめでとうございます。
 
本公演は収録された。是非日本でも放送してほしい。