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2018/4/29 兵士たち(軍人たち)

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2018年4月29日  ケルン歌劇場
ツィンマーマン  兵士たち(軍人たち)
指揮  フランソワ・グサヴィエ・ロト
演出  カルルス・パドリッサ(ラ・フラ・デル・バウス)
フランク・ファン・ホーヴェ(ヴェーゼナー)、エミリー・ヒンドリックス(マリー)、ニコライ・ボルシェフ(ストルツィウス)、マルティン・コッホ(デスポルテス)、ユディット・ティールセン(シャルロッテ)   他
 
 
最初に、この公演のチケット入手エピソードからお話をしようと思う。
劇場のスケジュールと公演概要を見つけた瞬間、「これはGW旅行のハイライトになり得る公演だな。」と確信した。是が非でもチケットを取りたいと思った。
 
ところが、チケットの発売開始日が掴めなかった。
他の演目は年間スケジュールが発表になると、すぐさま予約を受け付けていたが、この演目だけはチケット発売日が未定のままだった。
おそらく、演出上の都合により、会場設定と客席配置に一定の条件や制限を加える必要があり、それが確定するまで発売を見送っていた、というのが真相だと思う。
かつてヴィースバーデンで鑑賞した時も、状況がまったく同じだった。あの時も、客席配置は、劇場の常識を覆すものだった。
 
私は数日ごとに劇場HPを閲覧し、売出しを慎重にチェックしていた。
ところが、結局発売開始のタイミングを見落とした。蓋を開けてみたら、既にいつの間にか売り出されていたという失態。
(そりゃだって、毎日毎時間チェックなんかしてられんからな)
そして嫌な予感は的中。29日(鑑賞日)は、あろうことか、既にソールドアウトになっていた。マジかっ!?
 
この29日というのは、いわゆるプレミエ、新演出のチクルス初日である。一般的にプレミエは注目が集まるし、チケット入手は他日に比べて難しくなる。
 
いや、例えそうだとしてもさあ、売切れというのはいくらなんでも、そりゃないだろ。
だってさあ、兵士たちだぜ!? これ、人気演目か? なわけねえだろ?
それとも何かい、カウフマンが出演するのか? ネトレプコが出演するのか?
なわけねえだろ?
 
チクルスの他日公演は余裕で残券があった。なので、おそらく初日のみ、招待やプレスなどに相当数が割り当てられ、一般申込者が割を食ったのだろう。間違いない。
 
どうしても諦めがつかない私は、劇場のチケットオフィスにメールを送った。
「拝啓 マネージャー様。
既に完売であることは承知してます。ですが、もし申込キャンセルやリターンチケットなどが発生した際のウェイティングが可能ならば、そのように扱っていただきたく存じます。お待ちしますので、どうぞよろしくお願いします。」
 
チケットオフィスから、即座に返事が来た。
「拝啓 サンジ様。
残念ながら、ご希望日の公演は既に売切れとなっております。あしからず。」
 
唖然・・。
なんだよ、この返事はよ!
完売は承知してるって書いただろうが!キャンセル待ちウェイティングしたいんだよ、どアホ!
 
などと怒っていたら、そのメールを受信したわずか20分後に、再びメールが届いた。
「拝啓 サンジ様。
予約を承り、以下のとおりチケットを確保しました。つきましては、代金を口座振込するか、あるいはクレジットカード情報を送ってください。」
 
はぁ!?
おいおい、なんだよ、たった20分で手のひら返しかい?
あるんだったら、最初からそう連絡してくれよ。
 
とはいえ、嬉しいお知らせであることに間違いはない。一発逆転だ。
外国人からの直々の懇願メールに担当者が心動かされ、隠し備えていたチケットを放出してくれたのだろうか? とにかく、諦めないで良かった。
 
実はこうしたキャンセル待ちの申立て、あるいは「何とかなりませんか?」メール、結構有効に機能することが多い。もし皆さんもそういう事態に遭遇した場合、諦めず、ダメ元でトライしてみてほしいと思う。意外と何とかなる。保証しませんけど。
 
以上が入手経緯のお話。長々とすみません。じゃ、公演の感想。
「いやー、すんごかった!!諦めずにチケットを求めて本当に良かった!!」
以上(笑)。
 
以上って・・・いくらなんでもあかんやろ。
でも本当にこれが偽りない正直な感想だったのだ。
 
まあ、とにかく、すんごかったのである。
客席とオーケストラを360度で取り囲む通路型ステージをセッティングし、まさに文字通り360度方向から歌と演技を展開。パフォーマーは客席の通路にもどんどん侵入してくる。お客はくるくると身体の向きを変えながら鑑賞。映像もふんだんに採り入れ、目と耳の両方に強烈な刺激が加わる。何という創造性!何というスペクタクル!さすがはラ・フラ・デル・バウス!
 
指揮者のグサヴィエ・ロトが、これまた完ぺきな職人の仕事。難解な音楽なのに、コントロールが万全で、超余裕な進行管理なのがびっくり。演奏は炸裂しっぱなしだが、決して破たんせず、不協和音の連続だというのに、完全に均衡と調和がとれている。
きっと相当練習し、プローベを重ねたのだろう。
 
カーテンコールは大熱狂、怒涛の喝采に包まれた。
挑発的な演出だったにもかかわらず、その演出チームに対しても大ブラヴォーが飛び、ブーは一切なし。
ケルン歌劇場、空前の大成功といっていいのではないだろうか。興奮の一夜だった。
 
しかし、私はカーテンコールに最後までお付き合いせず、そそくさと足早に会場を後にする・・・。