指揮 ジョン・フィオーレ
演出 リディア・シュタイアー
ブライアン・レジスター(エネー)、クリストフ・ポール(コレーブ)、アシュリー・ホランド(パンテー)、エミリー・ドルン(アスカーニュ)、ジェニファー・ホロウェイ(カサンドラ)、クリスタ・マイヤー(ディド) 他
ついに、この作品を鑑賞することが出来た。「トロイアの人々」、人生初の舞台生鑑賞である。
鑑賞の機会は昔から探っていた。
2011年2月にゲルギエフが東京でコンサート形式上演を振ったが、記憶に間違いがなければ、これが日本におけるたった一度の機会。だというのに、海外出張のためこれを逃した。
マイナー作品の上演に期待がもてない日本では、こうしたチャンスを逃すと、あとはもう絶望的にアウトだ。
日本だけではない。ベルリオーズ渾身の大作、人によっては「最高傑作」と評価されることもあるのに、欧州でさえもなかなか上演されない。これにはいくつかの頷ける理由が挙げられよう。
まず、単純に長え。
単に長大なだけならワーグナー作品だってそうだが、やっぱりフランス・オペラ、つまりフランス語というのが大きな壁。
しかも登場人物が多い。合唱大活躍。演出によってはバレエを入れなければならない。
要するに「金がかかるオペラ」なわけだ。劇場の予算を逼迫させる演目。そりゃ、どこだって二の足踏むわな。
さて、今回のドレスデンの舞台、プレミエを迎えたばかりのブランニュー・プロダクションなわけだが、初めて聴ける嬉しさはさておき、なんだかどうにもワクワク感が来ない。
それは、とにもかくにも、指揮者、演出家、歌手、これらキャストに「お!? この人がでるか!?」という華のあるスターが見当たらないからだろう。
(ワーグナー・メゾとして一流劇場で活躍しているC・マイヤーが華のある歌手なのかどうかは、人によって判断が分かれるかもね。)
新演出なら、ましてや名門ゼンパー・オーパーなら、もう少しビッグネームを揃えられたんじゃないのか??
やっぱり上演そのものにお金がかかってしまい、キャストにまで予算が回らなかった、というのが実情なのだろうか。
そもそも、せっかくのプレミエだというのに、当初予定していた指揮者まで変更になってしまったのだ。
本当はローター・ケーニクスだったのだ!!!
・・・なんて「!」マークを三つも付けてみたけどさ、「ケーニクスでもフィオーレでも、別にどっちでもいいじゃんか」みたいなグダグダ感なわけである(笑)。
まあいいさ。とにかくトロイアを聴けたことが、最大の収穫ってわけだ。
それに、この作品をご存知の方は分かっていると思うが、主人公はカサンドラだったりエネーだったりディドだったりだが、実は影の主役がいて、民衆、すなわち「合唱」なのである。
これだけ合唱が活躍するオペラ作品はないんじゃないか??とにかく迫力と音圧はすごい。圧巻だ。これを体感できただけでも、儲け物ってこった。
演出だが、時代と場所を移し替えている。
ただし、時代と場所を変えても、人物の描写まではいじっていないので、受入れに拒絶感はない。
ということで、音楽に十分に浸ることが出来、合唱に感動し、繰り返すがトロイアを初めて聴くことが出来、満足ということで、初日を終えた。
疲労感は半端ない。午後6時開演で終演は11時を軽く回った。いきなり初日からこれだもんな。
つくづく長ぇオペラだ・・。