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2017/10/21 N響C定期

2017年10月21日   NHK交響楽団定期演奏会   NHKホール
指揮  クリストフ・エッシェンバッハ
ブラームス  交響曲第3番、第2番
 
 
エッシェンバッハのタクトは不思議だ。
お世辞にもカッコイイとは言えない。アインザッツが曖昧で、よくあれでオーケストラは縦の線を合わせられると思う。
案の定、第3番冒頭の揃えが決まらず、「ほぇぇ~っ」と鳴った時は、早くも「こりゃダメだ」と思った。
 
でも、決してダメではなかった。
演奏が進むうちに、徐々に音楽に引き込まれていくのである。じっくりと、じわじわと。
第3番は、特に第3楽章と第4楽章が素晴らしくて、本当に聞き惚れた。後ろの人に配慮して身を乗り出さないのは当然のマナーだが、気分的には途中からいつの間にか前かがみの状態で聞き入っていたと思う。知らず知らずのうちに。
だからと言って、じゃあエッシェンバッハのタクトに吸い込まれたのかといえば、「うーん、そうとは思えんがなあ・・」って感じ。
 
不思議なのだ。
 
いわゆるブラームスらしい渋みだとか、ドイツらしい重厚さだとか、とは違う。ブラームスの音楽を聴くと晩秋とか夕暮れの情景が思い浮かぶが、エッシェンバッハはそんな感じがしない。朝、日が昇った直後の薄っすらとした明るさと静けさ。感触は柔らかく、フワフワ。でも、しっかりと握ってみると以外に芯がある、みたいな。
 
第2番も基本的なアプローチは一緒で、最初はフワフワしているが、徐々に凝縮し、成熟していく。
テンポや強弱は色々といじっているのに、自然な佇まい。
 
やっぱりエッシェンバッハは不思議。
不思議だが、それこそがとても面白い。
 
ところで、この日、オーボエトップ奏者の音色に魅せられた。
いつものN響の人ではないので、客演奏者で間違いないが、びっくりした。
音色が日本人っぽくないのだ。欧州のオケで聞こえてくる音色。上手いというより、深い。
 
そしたらツイッターなどでやっぱり話題なっていた。みんなやっぱり目ざとく気がついていたんだ。
その奏者は吉井瑞穂さん。マーラー・チェンバー管の首席奏者。
あの人だったのか~!!
大納得。