クラシック、オペラの粋を極める!

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2017/4/15 読響

2017年4月15日  読売日本交響楽団   東京芸術劇場
指揮  シルヴァン・カンブルラン
イリス・フェルミリオン(メゾ・ソプラノ)、バリント・ザボ(バス)
メシアン  忘れられた捧げもの
バルトーク  青ひげ公の城
 
 
その昔、私はドビュッシー好きを公言して憚らない人間だった。クラシック音楽という夢の世界の扉は、「牧神の午後への前奏曲」によって開かれたからだ。
だというのに、なぜか「聖セバスティアン」は、私にとってハードルの高い難曲だった。
現代音楽のようにワケの分からないリズムやハーモニーに支配されているわけではないのに、どういうわけか耳に馴染まない。
 
年月が経って、今こうして聴いても、やっぱり作品の良さを見つけられない。
かろうじて、終曲の最後の部分で、ドビュッシーらしい美しい和音が鳴り、「そうそう、これこれ」と満足するのみ。
 
曲とお友達になれないと、どんなに演奏が素晴らしくてもハートに響かない。(逆に言うと、好きな曲なら演奏レベルに多少の問題があっても感動できちゃうんだけど。)
きっとこの日の読響の演奏、良かったんだと思う。きっとね。
 
これに対し、メインの青ひげは面白かった。
これまで聴いてきたたいていの青ひげは、作品に漂う独特の幽玄の世界が構築され、薄暗く、寂しく、哀愁が漂っていた。
ところが、カンブルラン指揮の演奏は、なんというか、シェヘラザードのようなオーケストラ絵巻だった。とにかく鮮やかだったのだ。
薄暗い部屋の景色ではなく、あたかも扉を開けることで薄暗い部屋に差し込む光にスポットを当てているようだった。これはとても新鮮だった。
 
青ひげのザボ、聞き覚えがある名前で、調べてみたら、2011年12月N響公演に出演していて、演目はやっぱり「青ひげ公の城」だった。
スペシャリストなんだろうねえ・・・。
ユディットへの愛と、すれ違う会話の悲しさが、語りのような歌に滲み出ていて、とても良かった。