クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2017/2/15 二期会 トスカ

2017年2月15日   二期会    東京文化会館
プッチーニ   トスカ
指揮  ダニエレ・ルスティオーニ
演出  アレッサンドロ・タレヴィ
木下美穂子(トスカ)、樋口達哉(カヴァラドッシ)、今井俊輔(スカルピア)、長谷川寛(アンジェロッティ)、米谷毅彦(堂守)   他
 
 
今回の舞台、ローマ歌劇場との提携により、初演時のデザインを基にしてこれを再現したんだってさ。
なるほど、確かにパッと見た目は豪華だ。
このオペラの場合、場所や時代が特定されているので、ヘタに抽象的にやると大抵失敗する。こういうオーソドックスな舞台でやるのが結局ベストな選択なのだろう。
(一緒に行った人に「以前に観た現代演出では第一幕が墓場で、テ・デウムの場面、スカルピアに殺された人たちがゾンビになって墓からゾロゾロ出てきた。」と紹介したら、そいつ「俺だったら、そんなの見た瞬間、帰る!」と言っていた。)
 
個人的に、舞台を壁に絵で書いて作っているというのが、あまり好かん。リアリズムを徹底したいのなら、それをきちんと製作してほしい。
もっとも、装置に関しては「初演舞台をそのまんま再現する」というのがコンセプトなのだから、仕方がないといえばそのとおりなのだが。
 
演出に関し、観客側に思索や想像といった物を求められない舞台だと、こちらは安心してピット内を見続けることが出来る。視線の先の割合は、ほぼ五分五分。イタリアの俊英ルスティオーニがいかにこのオペラを調理するのか。私の関心はほぼそれに尽きる。
 
ルスティオーニが都響から引き出した音楽は、鮮やかの一言だ。一つ一つのハーモニーや旋律に対し、実に丁寧かつ丹念に導き出している。指揮者の洗練された感性といったものが感じられる。
それから歌手との距離感、寄り添い加減がいい。3年前の蝶々夫人でも同じことを思った。歌手は歌いやすいだろう。支えてもらっていると感じていることだろう。いい指揮者だ。リヨン国立歌劇場は、正しい選択をしたと思う。
 
主役の歌手陣、これくらい歌えれば、国内公演として十分合格だ。トスカ役の木下さんは、変に大歌手プリマ然とせず、一人の女性として演じていたのが好印象。カヴァラドッシの樋口さんも、若々しさが出ていて良い。スカルピアの今井さんは、歌は悪くないんだけど、もう少し全体的に「悪」のオーラが欲しかった。ちょっと真面目。ぶっ殺されるんだから、もっとぶっ殺したくなるほど憎々しくないと。まあ、難しいんでしょうね(笑)。