ドニゼッティ ドン・パスクワーレ
指揮 菊池彦典
演出 フランチェスコ・ベッロット
牧野正人(ドン・パスクワーレ)、森口賢二(マラテスタ)、許昌(エルネスト)、佐藤美枝子(ノリーナ) 他
主役の歌手の皆さん、とても良かった。
牧野さんと佐藤さんは、さすが藤原で主役慣れしていて、歌も演技も味があり、堂に入っていた。
感心したのはマラテスタ役の森口さん。イタリア語がとてもお上手。もちろん歌も見事。これまでチョイ役としての出演で名前を知っていただけだったが、主役級も十分にいける。発見であった。
演出も、十分に楽しめた。
確かに舞台装置などオーソドックスではあった。だが、決して‛単なる’ではなかった。
演技がとてもきめ細やか。人物の立ち位置は考え抜かれている。舞台にはちょっとしたアイデアがたくさんちりばめられている。
歌手だけに演技を任せるとどうしても歌っている時に止まってしまうのだが、ベッロット氏はこのことをちゃんと知っていて、演技だけの黙役たち(女中など)を登場させ、サポート。これによってアクションに変化が加わった。スピード感があり、こういうドタバタブッファでは、特に効果的だ。
問題はオーケストラと指揮者。
とにかく緩い、ヌルい、合わない、間延び、そして技術的に下手クソ。
それはもしかするとオーケストラの問題だったかもしれない。だけど、わりいけど責任は100%全面的に指揮者に負ってもらいたい。