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2016/1/9 N響A定期

2016年1月9日  NHK交響楽団定期演奏会   NHKホール
指揮  山田和樹
松島菜々子(語り)
ビゼー  小組曲子供の遊び
 
 
年が改まって、今年もまたライフワークのコンサート通いが始まった。確か昨年も一昨年も、そのトップバッターはN響だったような気がするな。
 
今回のプログラムでは、ドビュッシーの作品の語りとして女優松島菜々子氏が出演するのが目を引く。そのためにわざわざオペラグラスを持参(笑)。背が高くて細くてスラリとした体型に、「やはり女優は違うなあ」としみじみ実感。
単なる作品紹介や、曲と曲の間のつなぎの役割かと思いきや、演奏中も含めたナレーションになっていた。
指揮者のすぐ横に位置して演じる姿は、あたかも協奏曲における「語り」奏者のソリスト待遇のよう。
ただし、そのナレーションに強いインパクトがあったかといえば、そうでもない。あったことによってストーリーの理解は得られたが、演奏上必ずしも必要だったとは思わない。
 
また、大変残念ながら、私にとって曲そのものが結構退屈。
この曲、ジャン・マルティノン指揮フランス国立放送管のCDを持っていて、かつてそれなりに聴きこんだはずなのに、今さっぱり思い出せない。
今回の観賞のため、公演前に改めてディスクを取り出して聴いてみたが、得られた印象はまったく一緒であった。バレエ音楽なので、踊りを観るための伴奏音楽で十分かもしれない。
 
さて、今回指揮をした山田和樹。彼が振る公演を聴くのは、これで4回目だ。
パリ管に客演したこともあるし、スイスの名門ロマンド管と来日公演を果たしたこともあるし、今年はバーミンガム市響との来日も予定されるなど、若手としては群を抜く活躍で快進撃を続ける山田クン。それほどの逸材なら、その勇姿に登り龍のような鋭い勢いと、きらめくような光が差し込めていても不思議ではない。
ところが、彼のタクト姿は、そうした鋭敏さよりも、むしろ肩の力が抜けた柔らかさ、ホンワカさが目立つ。そのギャップに、まるで拍子抜けするかのよう。
なので、彼の音楽を「目」で追っかけてしまうと、何とも言えぬ違和感を抱いてしまう。
そこで見た目にとらわれないように神経を「耳」に集中させて鑑賞する。すると、ようやくそこで作品全体の構築性が感じ取れるようになる。ペトルーシュカは非常によくまとまっていて立派な演奏。完全に手中に収めていることが分かる。
 
そんな感じで、視覚と聴覚を上手に切り分けられない未熟者の私は、今のところ彼の本領を完全に掴みきれていない。まあ、これからも聴く機会は数多くあろうから、引き続き追いかけていくこととしよう。