パリ二日目。午前中、モンマルトル界隈にあるパリ市立ロマン主義博物館を訪れた。オランダ出身の画家アリ・シェフェールの居宅だった所で、19世紀当時の文化人が集ったサロン部屋を公開している。その文化人の中には、ジョルジュ・サンド、ドラクロワ、ショパン、リスト、ロッシーニなどが含まれているという。
行ってみると、警備員が待ち構えるかのように立っていて、さっそく荷物チェック。決してメジャーな博物館ではなく、しかも非常に小さな館で、訪れる人だってそれほど多くないだろうに、テロ脅威の余波はこんなところにまで、と驚く。
サロンに集った上記の芸術家たち、とりわけ音楽家に関する展示品が何かあるのではと期待をしたが、そういったものはほとんどなくて少々がっかり。

この日はオペラ公演がマチネーのため、観光は午前のみのたったこれだけ。
というのも、予め劇場側から「荷物チェックを行いますので、早めにご来場ください。」との連絡を受けていたからだ。しかも15分以上の遅刻による入場は不可だという。
入場客には金属探知ゲートをくぐらせるほどの徹底ぶり。

まあ、逆にこれくらいやってくれた方が安心して観賞できるので、よろしいんじゃないですか。
私などのように観光客だか観劇客だか見分けがつかない外国人に対しては、警備員が質問する。
「スペクタキュー?」
「ビエ?」
このフランス語、私はこれまで経験でその単語を知っていたので、それぞれに「ウィ」と答えることが出来たのだが、そうじゃないとおそらく戸惑うことだろう。
「スペクタキュー」とは英語でスペクタクルなのだが、フランス語で「ショー」つまり舞台観賞という意味である。
「ビエ」とはチケットのこと。つまり「ちゃんとチケットはお持ちですか?」と聞かれている。
ちなみに、単なる警備員が外国人に対する配慮で質問を英語でするなんてことは、絶対にない。やっかいな国である。